第4話
そして、耶雲大佐と湊副隊長が出ていってから数分後に同じく白衣を身に纏いウルフカットの栗色の髪に赤みがかった茶目。メガネをかけた女の人が入ってきた。
片手はポケットに手を突っ込み、もう片方の手ではカルテのような物を持っている。
「初めまして、皆さん。私の名前は蝶亜(ちょうあ)です。さっきの湊と同じ副隊長をしています。よろしく。」
見た目からも想像できるような、落ち着いた声の持ち主だった。
彼女は、俺たちをメガネ越しにじっと見る。
「…」
そして、目が合った。俺と。
少し目を見開いたように見えたが、すぐに彼女はカルテに目を移した。
「うん。ほぼ全員若干の栄養失調が見られます。湊からも大体のことは聞きました。1日一食…食べ物を与えられないこともザラに合ったでしょう。辛かったですね。」
彼女の声は、どこかみんなを安心させる。
吸湿された人たちの中には、俺より小さい子供もいて…泣いている子もいる。
蝶亜服隊長は、少し後退り。俺ら全員が視界に入るところで止まった。
そして手をかざす。
「異能力___天瘉(てんゆ)」
蝶亜の使った天瘉。それは、身体系に属する回復異能のうちの一種である。
体の中の血液の栄養濃度や量、状態を調節し外部の傷だけでなく内部の傷をも治すことができる能力。
動物も人間も血液が流れているため皆が、術の対象者である。
発動条件:対象者を視界の中に入れ、手をかざすor触れる
代償:貧血、頭痛、眩暈に悩まされる。
蝶亜さんが異能力を発動した後、ほのかな鉄の匂いがはなを掠めた。
でも、それと同時に切れていたところも繋がり…体の嫌悪感も少し無くなった。
ただ体の中にある蟠りのようなものは取れなかった。
「さぁ、皆さん。大体の傷は癒えたかと思います。私の力でも全てを治すことはできません。その点はご了承ください。今、耶雲くんたちが親族に連絡をつけてい流ところです。外に移動しましょう。」
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