第3話

湊の使う異能力「真鏡」それは、創造系に属する異能のうちの一種である。

その名の通り真実を伝える鏡のことだ。

発動条件:右手で指を鳴らすこと。

さすれば使用者の頭の中には指定した範囲の物や人の全ての情報が流れ込んでくる。

代償:莫大な情報が頭に流れ込んでくるため頭痛や睡魔に襲われる。



救助された人数は総勢で約30人。

30人全員の知り得る限りの情報を頭に詰め込み、処理するまでの時間。

わずか5秒。


「っ……うん、そうか…」


「副隊長?なにか、ありましたか?」


湊は、片手で頭を押さえた。

そんな様子の湊を不思議そうに見る耶雲。


「…とりあえず。この中には、被験体番号302~329までの人たちがいる。それぞれ名前は302番が_______」


と一から、名前を言っていく。

この時この場にいた皆が確信した。本当に「異能」というものを使ったのだと。


「322番が、夜城 黎(やしろ れい)。16歳。323番が____」


322番…自分の…番号か。

自分の左腕についている番号を確認する。322番と書かれていた。


黎…夜城 黎…俺の名前か…


しっくりくるような、来ないような…


俺は、心の中でその名前を繰り返した。


「これが、君たちの名前だ。俺はこの現状を上層部に報告し、医師…まぁ、医師か。」


なぜ、そこで言葉に詰まるのかはよくわからない。


「…医師を呼んでくる。

そしてそれらが済んでから、それぞれ君たちの親族へと連絡をつける。それまでまた少し待っていてくれ。」


湊は、白衣のポケットに両手を突っ込んで元いた病室の奥へと足を進めた。


「耶雲、お前の部下の暇してる奴らに手伝え。と言っておけ。どうせ、お前部下からも舐められてるんだから初めから俺の名前を出して収集をかけろ。」


「はい!!」


耶雲大佐は湊副隊長に敬礼をし、病棟を後にした。






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