第21話

「…1、2、3、4、………極連の奴等今日は随分大勢でお出ましだな」




あたしの体にシートベルトを付けてくれた後、少し振り向いて追っ手の数を数える千秋。




「やっぱり車に乗せてよかったよ。あの数じゃ、紫季ちゃんだけじゃ逃げ切れなかったね」




「てか何だ?させてくんなかった女を追い回してさ。見苦しいし」




とんでもない勢いで進むマジェスタと、それを追う特攻服の少年たち。

そんな有り得ない状況に体を震わすあたしとは対象的に、香月さんと千秋は穏やかな声で会話をしていた。




「あ、紫季?因みに俺は高校二年だからな」




『えっ?本当に同級生じゃなかったんだ』




「お前は高一っぽいよな、なんか童顔だし」




『ソレ気にしてるんだから言わないでよ!』




揺れにも慣れて来て後部座席で千秋と口喧嘩してるあたしに、香月さんの鼻歌が聞こえて来る。




でも、それよりも気になる事があった。




『ねぇ、佑真は何してるの…?』




もう関わったらいけないって言われたけど、でも

もう一度会いたいって思ったらいけないのかな?




「多分佑真は、極連の事探り入れに行ってる」




『探り?』




「うん。アイツら何か企んでるっぽいからな」




千秋はチラッと後ろを振り向いて極連を睨むと、また視線をあたしに戻した。




「…アイツらはいつか絶対俺がこの手で潰してやる」




千秋の声は低くて冷たかった。

極連に、誰よりも嫌悪感を抱いてるようだった。

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