第18話

「うわっ!香月!何しに来たんだよ」




千秋は香月さんから隠すように、あたしを自分の後ろに隠した。




「俺は神田千秋から紫季ちゃんを護る為に来た訳だ」




マジェスタの運転席の窓の縁に腕を置いてその上に顎を乗せて、意地悪く微笑む香月さん。




『あ、お久しぶりです』




「久しぶり。…って言っても俺は毎日紫季ちゃんの事見てたけどね」




『…なん、なんで?!』




「極連との事が心配でね、学校の帰りだけちゃんと家に着くまでを見届けてたんだ、この車で」




『…………』




「なのに紫季ちゃん面白い程気付かないから、そのうち楽しくなっちゃって」




『…………』




「そんで今日も追跡してたら、こーんな所に遭遇しちゃったって訳」




…あたし…馬鹿だ!

こんな目立つ車に気付かないなんて!




『ていうか香月さん声かけてくれればよかったのにっ!』




「やめとけ紫季。香月なんか隣にいるだけで妊娠するぞ」




「歩く生殖器の千秋に言われたかねぇな」




「俺が歩く生殖器なら香月は走る生殖器だな!」




「糞餓鬼」




喧嘩する程仲が良いって言葉はこの二人の為にあるんじゃないかな。

いつも喧嘩してるけど、本当は凄く仲が良いんだと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る