第16話

…でも意識して聞いていると、クラスの女の子たちが熱狂しながら話しているのは全部『GOLD WOLF』の話しだった。




「GOLD WOLFの千秋さん!本当にカッコイイ!背が高いし」




「いや?佑真さんの方がいいよ。甘いマスクって言葉が本当に似合うっていうか」




「OBだけど香月さんもカッコイイよ!大人だし!」




「まぁ三人共女遊びは激しいけどね」




「そんなの関係ないよっ!三人共カッコイイ!」




…まぁ、あれだけのルックスの三人が集まったら注目されて当然だよね。




あたしは一週間前の出来事を懐かしく思いながら放課後の教室を後にした。




佑真たちのマンション程じゃないけど、あたしもマンション暮らし。




仕事の忙しい両親は殆ど会社や出張で家を空けていて、あたしはほぼ一人暮らし状態。




毎月の終わりにリビングのテーブルに札束が置いてあって、それが「じゃあまた来月に」って言われてるようで悲しくて、月の終わりはあんまり家に帰りたくない…っていうのが本音。




あたしはため息をつきながらそんな家に帰ろうと駅に向かって歩き出した。




…あれから極連にも遭遇する事は無くて、穏やかな日を送ってたけど。

だけど極連の人たちはGOLD WOLFに「カチ込む」って言ってた。




…佑真たち、危ない目に遭ったりしてるのかな、




そんな心配をしながら赤信号が変わるのを待っているあたしの耳に




「紫、季」




聞き覚えのある声が聞こえて来た。

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