第14話
「ここに住んでんのは俺と香月と佑真だけだからそんな心配いらねぇよ」
そんなあたしに明るく笑いかけてくれる千秋。
「どうしても帰りたいっていうなら送ってくよ。極連もそろそろ引っ込んだと思うし」
袋に氷を詰めながら、香月さんが微笑んだ。
『何者なの……?』
高校生の分際でこんな高級マンションに子供だけで住んでて、車乗り回して"極連"に追われてて、やたら詳しくて…
『極連なの?』
「まさか。」
あたしの質問に返事をしたのは目を伏せたまま微笑んだ佑真だった。
「俺たちは、極連の敵」
『敵…?』
訳が分からず首を傾げるあたしを見て、不適に笑った佑真がスクッと立ち上がった。
「GOLD WOLF」
………GOLD WOLF………
さっき合コンで聞いた名前だ。
「最強チーム、って言われてるんだけど。知らなかった?」
…あたしが時代遅れなの?
なんか恥ずかしくなる。
「じゃー、俺も質問していい?」
『え――…?』
「名前、何ていうの?」
―――ドキドキした。
好き、とかカッコイイとかそういうんじゃなくて。
『――…紫季。』
―――この人たちと居たら、これから何か特別な事が起こりそうな、そんな気がして、ワクワクした。
『――…紫の季節って書いて、紫季(シキ)』
―――期待してたんだと思う。夏の始まりと、未来に。
「紫季…か。綺麗な名前だね」
―――優しく笑う、佑真の笑顔に。
「――紫季。…もう二度と俺らに関わったらダメだ」
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