第13話

「大人しそうな顔して、ヤリコンって…!」



笑い転げる佑真の両耳には、動く度にチカチカとゴールドのリングピアスが一対ずつ輝いている。



『だって、あたし知らなくて…!ただ友達にくっついて行っただけで…』



慌てて弁解するあたしに、何故か佑真が手を延ばして来る。



「これも?」



そしてあたしの前髪をかき上げた佑真が首を傾げた。



『……え?』


「おでこ、赤くなってる」


『…おでこ?』



自分の額に触れてみると、確かに鈍い痛みがあった。



「あ!ソレさっき俺とぶつかった時のじゃね?」



そういえばさっきのカーチェイスの時、千秋とぶつかったんだった。

そういえば、なんか痛い…



「凄い音してたもんな。千秋の石頭じゃ勝ち目ないよ。氷で冷やす?」



香月さんは立ち上がってキッチンに向かおうとしたけど…



『い、いえ!大丈夫ですっ。もう遅いし、お家の人に迷惑かかるし、あたしそろそろ帰らないと…』



あたしは立ち上がって香月さんにそう言った。



「お家の人?」



そんなあたしにソファーに座ったままの佑真が首を傾げた。



『うん、お父さんとかお母さんとか――…』


「いない、いない」


『え?じゃあ、ここって誰の家なの?』


「俺らの家」



…俺らって事は三人で暮らしてるって事?

じゃあ香月さんと千秋と佑真は兄弟か何かなの?



『………ん?』



状況が理解出来なくて首を傾げるあたし。

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