第13話
「大人しそうな顔して、ヤリコンって…!」
笑い転げる佑真の両耳には、動く度にチカチカとゴールドのリングピアスが一対ずつ輝いている。
『だって、あたし知らなくて…!ただ友達にくっついて行っただけで…』
慌てて弁解するあたしに、何故か佑真が手を延ばして来る。
「これも?」
そしてあたしの前髪をかき上げた佑真が首を傾げた。
『……え?』
「おでこ、赤くなってる」
『…おでこ?』
自分の額に触れてみると、確かに鈍い痛みがあった。
「あ!ソレさっき俺とぶつかった時のじゃね?」
そういえばさっきのカーチェイスの時、千秋とぶつかったんだった。
そういえば、なんか痛い…
「凄い音してたもんな。千秋の石頭じゃ勝ち目ないよ。氷で冷やす?」
香月さんは立ち上がってキッチンに向かおうとしたけど…
『い、いえ!大丈夫ですっ。もう遅いし、お家の人に迷惑かかるし、あたしそろそろ帰らないと…』
あたしは立ち上がって香月さんにそう言った。
「お家の人?」
そんなあたしにソファーに座ったままの佑真が首を傾げた。
『うん、お父さんとかお母さんとか――…』
「いない、いない」
『え?じゃあ、ここって誰の家なの?』
「俺らの家」
…俺らって事は三人で暮らしてるって事?
じゃあ香月さんと千秋と佑真は兄弟か何かなの?
『………ん?』
状況が理解出来なくて首を傾げるあたし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます