第3話

―――……幼い頃から家族仲のよくない自分の家族にコンプレックスを抱いていた当時の俺は、いつか幸せな家庭を築く事を夢見ながら高校生活の二年目を迎えようとしていた。




「うざいんだよお前!」




「んだよその目!まぢムカツク!」




「何か言えよ!黙ってんじゃねぇ!」







「…暇だね?あんたたち」







あんたたちなんか興味ないって様子で余裕で笑ってる茶髪で、化粧濃くて、めちゃめちゃ性格悪そうな女。






「んだと?!こら」







俺はその女に向かって振り落とされようとしていた平手を、気付いたら止めていた。




『やめろや』




威圧的な雰囲気を出す俺にビビった二人組の女たちはさっさと走って逃げて行った。




『大丈夫か?』




振り返ると、驚いたように女は俺を見上げていた。




「…ありがとう…」




これが俺とケイの出会いだった。




それから廊下や通学路で出くわすと会話を交わしたり、休み時間や昼休みを一緒に過ごしたりする時間が増えて




いつしかケイは俺の恋人になっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る