第17話
「おはよ」
次の日の朝、部屋から出るとオウタロウと鉢合わせた。
昨日の事が無かったかのような清々しいオウタロウの態度。
――…そういえば餓鬼の頃から、兄弟喧嘩をしても必ず次の日には一緒に遊んでいた。
それはオウタロウがこうやって話しかけてくれるからだ。
『おー。』
ぶっきらぼうに返事をした俺は、寝起きの怠い体でフラフラとリビングに向かった。
「親父ならもー行ったぞ」
『んな事誰も聞いてねぇ』
「ふっ、そーかよ」
こういう時に感じるオウタロウとの歳の差。
少なからず俺は、親父がいないって事を聞いて安心した。
反発したって何したって、滅多な事がない限りオウタロウは笑って吸収してくれる。
「俺らを捨てた実の親父と、俺らを拾ってくれた義理の親父」
俺はオウタロウの言葉に階段を下りていた足を止めた。
「義理の親父でもこれからずっと一緒。実の親父でもこのままずっと会う事はない」
『…何が言いてぇんだよ』
「…うん。俺も何が言いてぇのか分かんねぇ。ただ現状を言葉に纏めただけだ」
『そーかよ』
興味なさ気に煙草を口に挟んで、俺は階段を下りて行った。
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