第9話

「いい加減にしろ」




『こっちの台詞だ。ぶっ飛ばされてぇのか糞兄貴』




立ち上がりながらそう言った俺に




「やってみろよ糞餓鬼。相手になってやる」




受けて立つと言わんばかりの態度でふてぶてしく微笑みかけて来るオウタロウ。




『現役ナメんなこら』




胸倉を掴み合う俺たち。

その間で必死に俺の胸に手を置いて制止させようとするケイ。




「ナオっ!やめよう?」




『オウタロウ!!』




「ナオっ…お願いっやめて!」




『ぶん殴る!!』




だけど一度出した牙はそう簡単にはしまう事は出来ない。




「ナオ!!!」




ケイの悲鳴のような声で理性を取り戻した俺は、オウタロウを突き放すと目に入ったガラステーブルを蹴り飛ばした。




ガシャンと音を起てて部屋の端までふっとぶガラステーブル。

その音にケイが肩を竦めたのが分かった。




「…頭冷やせ」




オウタロウは俺にそう言い捨てると部屋を出て行った。




頭ならとっくに冷えてる。

ただ苛つく。

胡散臭いこの家に、震える程の苛つきを覚えた。

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