第6話
「あら!こないだの!」
リビングに入ってすぐにお袋はケイに嬉しそうに声をかけた。
「あ!お久しぶりです!ケイです!」
「ケイちゃん!座ってっ調度今出来た所だから」
「あ、すいません」
俺は二人のそんなやり取りを聞きながら席についた。緊張しているのかケイはイスに腰かけてからもソワソワしていた。
それよりも気になる事がある。
「初めまして、ケイちゃん」
「あ、初めまして…」
俺の正面には"親父"が座っていた。
俺は親父に何も言わずにおかずを口にほうり込んでた。
「暫くみない間に二人共大人っぽくなったな」
違いが分かる程俺らの事見てんのかよ。肩書だけの親父のくせに。
無意識に箸を握る手に力が入る。
馴れ馴れしく話しかけて来る親父にも、それにバレバレの作り笑いで返事するオウタロウにも、その場を取り繕う為の話題をぽんぽん投げ掛けて来るお袋にも苛々が募る。
ぶっ壊してやりてぇな。
一瞬だけ、この現実を。
猿芝居かよ家族全員で?
笑わせんな。虫ずが走る。
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