A LONE WOLF

PROLOGUE

第1話

――――――――――




全てに絶望した俺の目の前に広がるのは、碧々とした海だった。




力なく砂浜に膝から崩れ落ちる俺には




満ち引きを繰り返す波も


薄暗い空も


靴の中に入った砂も


髪を靡かせる強い風も





全てが色褪せていて、

全てが悲しげに霞んでいるように見えた。




――…いくら過去を後悔しても、寄り添ってくれる人はもういない。




いくらこの手を差し伸べても握り返してくれる人は

もう、いない―…。





―――――――――――

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