第3話

彼は『魔王』のナンバーワンであり、あたしの彼氏。




『リョウジ…お帰りなさい…』




体の後ろに隠そうとしたバックを持つ手を、リョウジに乱暴に掴まれる。




『痛っ…』




「お前。また逃げようとしたろ?」




あたしの彼氏は

――あたしの飼い主。




『…し、してな…』




「逃げようとしたな?!」




リョウジは足元にあったゴミ箱を蹴り飛ばした。

ゴミ箱から空き缶が散らばり、缶の中に残っていた水分があたしの体にかかかる。




『逃げようとなんかしてないよ…っ』




「約束を破ったな。」




あたしの下手な嘘を見破るリョウジは乱暴にドアを閉めて、あたしを乱暴にベッドに倒す。




『破ってないっ!』




「じゃあこの荷物はなんだよ!!また俺から逃げようとしたんだろうが!!」




胸倉を掴まれて、頬に彼の拳が飛んで来る。




『リョウジやめて!』




「うるせぇ黙れ!」




冷たい表情に荒げる声。

あたしは反射的に目を閉じる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る