魔王
第2話
―――急がなきゃ!
あたしは前々から用意していた大きめのボストンバックに私物を詰め込んだ。
下着に制服の夏服、化粧品に通帳。
荷物が多いのは、この部屋に居た日々の長さを表してる。
この部屋はあたしにとって牢獄。
…早くしないとアイツが帰って来る。
早く行かなくちゃ…。
――…ボストンバックを持ち上げた調度その時だった。
「何してる。」
低く冷たい声が静かな部屋の空気を凍らせた。
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