第3話:親父からのメッセージ。

行方不明の親父から僕宛に小包が届いた。

その中に女性モノのレースだらけの赤いエロパンツに混じってUSBが一個入って

いた。

俺がそのUSBを確認していると・・・。


「あ、箱の底に紙が入ってる」


彩葉いろはに言われて箱の底を見たらメッサージらしきものが入っていて、その紙には

僕宛に親父からのメッセージが綴られていた。


「一平そのUSBを大事に仕舞っておけ・・・誰にも渡すんじゃないぞ・・・

データの内容は彩葉に関する大切なデータが入っている」


「彩葉は遺伝子技術によって生まれた世界でただひとりの「バイオロイド」だ」

「つまり彩葉は生物学・有機物的人造人間で分かりやすく言えばクローンなのだ」

「普通の人間よりも長命でロボットやサイボーグに匹敵するパワーを持っていて、

「人には知られたくないような特殊能力も持っている」


「研究所を乗っ取った「バッド・クライム」は彩葉と彩葉に関するデータを

欲しがっている」

「もし、やつらに彩葉とデータのことが知られたら悪用されるのは目に見えている」

「だから決してやつらの手に渡してはならない、だがやつらも手を回して彩葉とその

USBを探してるだろう」


「もしお前がそのUSBを持ってることが、やつらに知られたらお前に危険が及ぶ

と思い万が一を考えて彩葉を隠すことも兼ねて家に連れて帰った」


「彩葉のことは心配いらない、彼女は無敵だ」

「だからお前に危険が及びそうになったら彩葉がお前を守ってくれる」

「ふたりで協力してUSBも同時に守ってくれ」

「くれぐれも気をつけるように・・・決してスケベではない素敵な父より」


まじで?彩葉がクローン?・・・バイオロイドって?人造人間なの彩葉って。

世界でただひとりの?・・・そうなんだ完全に人間の女の子だと思ってた。

そうかそれで彩葉は生まれてまだ一年経ってないんだ、まだ0歳なんだ。


それにしても親父は僕になんか嫌なモノを残してくれたよな。

危険が及ぶようなモノ持ってたくないよ・・・なんだよこれ。

だけど、預けられたモノは捨てられない・・・誰かの手に渡ったら大変なことに

なるんだろ、責任重大だよな・・。


ああ、そうなんだ、俺とUSBを守る、そのために彩葉が僕んちに来たのか?

それと彩葉自身を隠すため・・・だからメイドの格好なんかしてるんだ。

家政婦を装うために?


彩葉はロボットに匹敵するパワーを持ってるって書いてあったけど、華奢な

体のどこにそんな力が隠されてるんだ?

このこと彩葉は知ってるのかな?


だから、まだ僕のそばにいた彼女に聞いてみようと彩葉を見た。


別に普段通りなはずなのに彩葉を見てるとまじ可愛すぎて衝動的にハグしたく

なる。

でも、僕の方からハグしてって言わなくても彩葉はそれが使命のように定期的に

僕にハグしてくる。


朝起きると


「はい、チューとハグのお時間です」


昼ご飯の前にも


「はい、チューとハグのお時間です」


で、寝る前にも


「はい、チューとハグのお時間です」


だから僕はそのたびに塩をかけられたナメクジみたいに腑抜けになってしまう。

彩葉からはめちゃいい匂いがするし・・・それだけで癒された。


このままだと僕はダメ人間になりそうだ・・・。

で、なんとか腑抜けから立ち直った僕は彩葉にUSBのことを聞いてみた。


「あ、彩葉・・・あのさ、このUSBのことなんだけど・・・」

「彩葉はこの中に入ってるデータの内容知ってる?」


「知りません・・・おぼっちゃま」


「ごめん・・・あのさ、ちょっと前から言おうと思ったんだけどそのおぼっちゃま

ってのやめて欲しんだけど・・・」

「俺、おぼちゃんって柄じゃないし彩葉も家政婦じゃないんだからさ・・・」


彩葉は僕を見て、なんだよこいつ〜ってふうに目を細くした。


「私はおぼちゃまのメイドです」


つづく。


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