第13話 仕事⑥
朝、目が覚めるとベッドの横にネムがいた。
子供達の中では一番下の年齢だ。
「だいじょうぶ?」
僕は軽く微笑むとともに起き上がった。
下に降りると、何人かが朝食を摂っていた。
「お、起きたか。昨日はぐったりだったようだな、おつかれさん。今日も頼むぞ」
そう言うと、ジモンさんは僕の背中を叩く。
痛くはない。
「…死なないように頑張ります」
ジモンさんは大いに笑う。
席に着くと、宿屋の亭主だろう女性が飲み物を出してくれた。
「もし可能だったらで良いのですが、運搬は半分くらいにして、他の仕事をさせていただくことは可能ですか?大変というのもありますが、色々と経験を積みたいというのもありまして…」
嘘である。
疲れるという理由一点である。
「あー、そのうちな」
「はぁぁ」
やはり、ダメか。
「掘るのも大変なんだぞ。鉱石を見つけたはいいが、本体を削ってしまって、商品価値が下がるということもある。新しい鉱石を見つければいいだけの話だが、時間と労力の観点から場合によっては給料から差っ引くこともある。それでもいいのかい?」
「うっ…それは…」
「お前さんの仕事はリスクが少ない。変更する必要はないと思うが如何に?」
「…リスクはあった方が燃えると思います!」
僕は何を言っているのだろうか。
疲れで、頭が回っていないのかもしれない。
「ほぉう」
少し考え、懐のメモ帳に何かを記入した。
「いいだろう。では、今日の午後からは採掘の方に行ってもらおうか」
「あ、はい、ありがとうございます」
交渉が上手くいく保証はなかったが、博打には勝ったようだ。
僕は心の中でガッツポーズをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます