第6話

 あの大仏の、磨き上げた硝子の瞳の奥には何があるのだろうか?

 少なくとも確かなのは、目を合わせた直後にケンジが気を失った事と、あの時からケンジを見た人間はこの世に一人も居ない事実だけである。


 ケンジが目覚める。誰かが彼を背後から抱きしめていた。

 マオの声がする。次の瞬間、彼の身体が舞い上がり――

 彼はマオと大空へ飛び立ったのだ。

(俺は今、何処にいるのだろう?)


 真実は、あの牧丘に今でも眠っている。

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ヤマビコの呼び声 岡田リョウリュウ @RyoRyu_MG

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