レミュエル

「つまりだね、集団で執行人を裏切り、今あのホテルに立てこもってるわけだ」


 リュドミラは目の前にあるホテルへ指を指した。様々な人が動いているが、侵入はしていない。


「大々的に執行人がバレたってこと?」

「そうだね。エレーナも圧制者も時の運がなかった。残念だよ」

「死んだ人はどうでもいい。何やればいいの?」

「お偉いさんがね、全員殺せだってさ。紫もそれなりいる。かなり絶望的だけど、ならできるよね?」

「方法は問わない。周りも気にしない。それなら可能だよ」

「じゃあやって。今すぐ」

「了解。やってきます」


 ミーシャはホテルへ近づいた。すると二階の窓から声が聞こえた。


「止まれ!」

「私だ。室内の人間全員殺せ」

「了解しました!」


 少し間を空けると、小鳥の首を締めたような銃声が響いた。刻一刻と銃声の数が増えていき、中が混乱状態へと陥る。


 ミーシャはトコトコと歩いて入口へとたどり着く。中の混乱により下の階へ逃げて来た人へ…………


「室内の人間全員殺して」


 一人一人へ丁寧に対応し、上の階へと向かわせた。皆が皆、楽しそうに大義を掲げて散っていった。


 ミーシャはリュドミラ人事のいる場所へと普通に帰った。ホテルは地獄と化している。悲鳴や鳥の鳴き声がうるさい。


「流石だね。あのエレーナが君のことを、天才って言った理由が分かったよ」

「――――――違うよ。天職なだけ」


 最上階が割れた。瓦礫が地面を落ち、上で見下す一人の執行人がいた。リュドミラ人事はいつも通りの口調で紹介する。


「彼女はレミュエル。ソニアと同じで、長剣を得意とする元執行人。安心して。彼女が最後の生き残りになるのは皆予想してた。強さと残忍さを兼ね備えている最強さん」


 レミュエルは睨んだ。リュドミラ人事ではなく、執行人ミーシャを強く鋭く睨む。誰にも聞こえない見えない距離で小さく口を動かし、レミュエルはどこかへと逃げた。


「追わなくていいよ。組織及び集団の彼らを潰せた時点で達成。お疲れ、ミーシャ」

「――――――――――――うん」

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