執行人ソニア

 来た道を辿たどり、二人が出会った隣国との国境まで来た。二人は今まで黙っていたが、正確にはソニアだけが黙していた。それほど、理解のしがたい内容だった。


「ミーシャさん、どういうこと?」


 ミーシャは立ち止まり、ソニアの方へと振り向く。目の前にソニアがいた。長剣を持ち、ミーシャへ目掛けて刺突を仕掛けている。見事にミーシャの内臓器官を貫き通し、ソニアが笑った。


 突き刺した光の剣を抜き、ミーシャは自然と倒れた。トクトクと血は地面へ溜まっていく。


「ははっ!バーカ!油断したな?なぁ?」


 純粋さのあったソニアは消えた。今ここに残っているのは本来の執行人ソニアだった。狂人のような笑顔で倒れたミーシャを見下す。


「はぁ――なんで?」

「なんでぇ?お前みたいな執行人は危険だからだよ。洗脳に近い術持ち。つあの人事どもの犬。加えてブリタニアールとの謎の関係。危険要素しかない」

「――――――そっかぁ」


 小鳥の首を締めた銃声が鳴る。同時にソニアの肝臓に当たる腹部に穴が空いた。ソニアはよろよろと動き、ミーシャの倒れている場所へと倒れた。しかし、目線の先にはミーシャがいる。そして倒れたミーシャが消えていた。


「はぁ――はぁ――はぁ――え?なんで?」


 ミーシャは躊躇なくソニアの顔面に、小鳥の鳴き声を鳴らし穴を開けた。今度こそ地面に血が溜まった。


「甘えるからだよ、ソニア」


 ミーシャはカリステンへと帰る。

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