第2話

賊に襲われてから10年が経った。

あの事件が起きたあとも、テウスはスキルもパートナーも持たないということが原因で、村人からは避けられ続けていた。マジリシアの憲法第1条「何者もすべて同じ立場として見られる権利を有し、すべてのものは何者に対しても同じ立場としてみる義務を有す。」という文章のお陰で、避けられるだけで、過度な嫌がらせはなかったが、それでも、テウスは教会孤児院に住み、そんなテウスに対して優しくしてくれるのは、神官の人たちと、ともに教会孤児院で過ごす子たちだけだった。


そして今日。

朝起きたとき、突如自分の右手の甲が光りだしたかと思うと、もともとあった盾のアザがずれ始め、そして本の形のアザができ始めていた。そして、その本のアザに驚いていると、そのアザが光りだし、眼の前に魔女帽子を被った見目麗しい女性の姿が現れた。

「テウス様。あなたとのが遅くなってしまい、申し訳ございません。私はあなた様の"パートナー"、アクラと申します。」

「え?パートナー??」

「はい、パートナーです。あの、パートナーというのは、主に式神や魔獣、神獣などがその人に対して・・・・・・」

「いや、パートナーって語句はしってるけどさ!?僕にはパートナーはいないはずだよ!?」

「あー、そこからですか。」

いきなり現れた美少女・・・アクラは呆れたようにため息を付いた。

いや、僕は別に悪くないよね?


「あなたが生まれたとき、本当はすぐにでも出てきたかったのですが、あのとき、あの診断をした魔法使い、クソ魔法使いによって、呪縛を施されてしまい、出るすべを封じられてしまいました。」

「ん?いや、あの人は僕の両親、エラドスとリュケアの親友だって言ってたよ?そんな人がわざわざ2人を困らせるようなことをするわけないじゃないか!」

「信じがたいとは思いますが、そうなのです。しかも、彼はギルドに所属していないです。」

「まさかだろ」

僕はやっと状況を理解した。マジリシアには15歳から20歳までの間に、この国にいくつもあるギルドのいずれかに所属しなくてはいけないということが法律に定められているのだ。

それは、それぞれのギルド同士では手柄争奪戦が激しいとはいえど、どのギルドも国に対しての忠誠を誓っていて、そのギルドに所属することで、国に忠誠を誓ったことになるからだ。

つまり、ギルド未所属というのは、国への反抗の意思を持った者ということになるのだ。

「マジか。」

「マジです。」


「で、じゃあ、なんで今解けた?」

「すみませんがそこまではわかりません。あ、それと、そろそろ時間が来ますよ?」

「時間?」

アクラがそういった瞬間、再び僕の右手が光りだした。そして、先程の本のアザが新たに丸い円に囲われ、その円の上には目のアザ、右にはプラスマークのアザ、左にはゴミ箱のアザ、下には魔法の杖みたいなアザが小さく追加されていた。

「ん?」

「スキルです。スキルが生まれました。」

「へ?」

「解説しますね。あなたのスキルは【スキル】です。」

「は?」

「えっと、このスキルは」

「ちょっと待てぇーい!なんなん!?パートナー出てきた思たらスキルも生まれて!あと、アザなに?もともとあった盾のアザも意味不明だけど、なんでアザ増えまくるん!?」

「だーかーら、パートナーとスキルが生まれたからアザも出てきたんですよ。ほらほら、ボードも出せるようになったんですから、確認しちゃってください!」

そう言われ、テウスはボードよ出てこい、ボードよ出てこいと祈った。ボードというのはいわゆるスキルボードのようなものだ。スキルまたはパートナーのいる人のみが使える、水色半透明の情報板だ。


そうして祈っていると、ボードが目の前に出現した。そのとき、やっと、スキルとボードが手に入ったというのを実感した。

テウス 男性 10歳

総合レベル:0.1

称号:守護神の愛護 Lv.?

パートナー:アクラ

スキル:【スキル】Lv.1・・・スキルを管理できる。

<<詳細ステータス>>

体力:10/10

MP:?/?

素質値(変更不可):?


<<備考(初回のみ表示)>>

※「神の7魔法」を適用された場合、称号が自動付与されます。

※数値が測りきれないものは「?」で表記されています。

※パートナーのレベルは契約者と共通です。


ん?ん??ん?????

え?どゆこと?

「これがあなたのスキルボードです。総合レベル0.1・・・雑魚ですねʬʬ」

「笑うな!!お前もだろ!」

「Be quiet!」

「なぜ英語!?」

「ま、いいじゃないですか!」


何こいつ、ムカつく。

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