スキル【スキル】で最強になりました。

sun-333333

第1話

ここは、私達が住む地球がある世界とは全く別の世界。


この世界での地球の王国、マジリシア王国では、誰もが生まれた瞬間に一つのスキルと、一生をともに歩むパートナーが与えられる。それは、生きるための力であり、運命そのものだと誰もが信じていた。スキルには、火を操る者や動物を従える者、時に光さえも曲げる力を持つ者がいる。そして、彼らのそばには、常にその力を補佐するパートナー――式神や魔獣が寄り添う。だが、極めて稀に、スキルもパートナーも持たない者が生まれることがある。その存在は人々にとって忌避され、運命に見放された者として語り継がれていた。


マジリシアの東の辺境に位置する小さな村――そこにテウスは生まれた。彼の両親、エラドスとリュケアは共に平民でありながらも愛に満ちた生活を送っていた。エラドスは、普段は村の鍛冶屋として働き、実は特級魔法の研究者でもあった。妻のリュケアは村一番の織物職人として知られていたが、何よりも優れた母であり、いつも優しい微笑みを絶やさなかった。彼らは息子テウスを慈しみ、彼の成長を心待ちにしていた。


テウスが生まれたその日、村は歓喜に包まれた。新たな命が誕生し、村中の人々が祝福の声を上げた。だが、スキル診断とパートナー迎え入れの儀式の日、異変が起こる。本来は儀式を執り行うのは神官が行うのだが、金が一銭も残っていないエラドスとリュケアには知人の魔術師に虞子期を頼んでいた。しかし、魔術師が何度も呪文を唱えるが、テウスにスキルもパートナーも現れなかった。

「これは……あり得ぬ。……スキルも、パートナーもないとは……。」

魔術師の驚愕と共に、村人たちの間にざわめきが広がる。スキルを持たぬ者は、存在自体が異常だとされ、恐れられる存在となる。魔術師の発言を受け、村人の中から「悪魔だ!」や、「恐ろしい!消えろ!」といった声が聞こえてきたが、それでも両親は他人の言葉など意に介さず、むしろテウスを守る決意を固めた。

「我が子にスキルが無かろうが、パートナーがいなかろうが、何の問題もない。テウスは我々の大切な息子だ。」

そう言って、エラドスはテウスをしっかりと抱きしめた。


しかし、その平穏は長くは続かなかった。儀式の帰り道、彼らは何者かに襲撃された。凶悪な賊たちが道を封鎖し、逃げ場を奪う。

「リュケア!テウスを守れ!」

エラドスの叫び声が響く中、リュケアは盾となり、息子を庇った。だが、彼女は突然の一撃に倒れ、その命を散らした。悲しみと怒りの中、エラドスは最後の力を振り絞り、魔法の研究をしているときに見つけた一度しか発動できない"神の7魔法"の一つ――「守護神の愛護」を発動した。それは、愛する者を永遠に守る一度きりの魔法。エラドスはテウスにその魔法をかけ、命を賭して彼を守った。


「これで……お前は守られる……永遠に……。」


エラドスの最期の言葉と共に、強力な光がテウスを包み込み、賊たちの攻撃をすべて防いだ。しかし、彼は一人になった。家族を失い、愛に包まれた日々は終わりを告げた。


それでも、テウスの背後には、今や父の魔法によって与えられた不滅の盾が光り続けていた。

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