sideルーン

あの歴史上最も盛り上がった処刑から3ヶ月が経った。

その3ヶ月でこの国は何もかも変わった。


たくさん変わった事がある中で一番の変化は俺たち人魚の扱いだ。


「ルーン様、異常はありません。」

「分かった、先に城に戻っていてくれ。」


英雄王は人魚を魔物として扱うのではなく人間と対等な生き物だと主張し、住む場所と仕事を与えた。

人魚の主な仕事は、漁や歌手、俺のように海域の警備など様々だ。


ちなみに俺はナイトに雇われて海域警備隊の隊長をやっている。


獲れる魚が増え、貿易も盛んに行われ国の景気も右肩上がり。

英雄王はたった三ヶ月でこの腐った国を立て直した。


そして、人魚と人間の結婚が許されるようになりシーラと英雄王はついに結ばれた。


今日はその結婚式があるから俺も早く城に戻らないと。

俺には海の警備よりも大切な役目が待っている。

シーラと一緒にバージンロードを歩く大役を貰い受けた。


遅刻したら大変だ。

それに、早くシーラの花嫁姿も見たい。

きっと綺麗なんだろうな、俺の初恋の人は。


海から上がり、城へ戻ると…


「あ、やっと来た。

仕事熱心なのもいいけどあんまりヒヤヒヤさせないで。」


少し怒ったルークが俺を迎える。


「悪い、今日は完璧な日にしてあげたいから警備に気合いが入ったんだ。」


ルークが何やらすごい魔法で俺の髪を乾かし服を変える。

さすが英雄王の右腕だ。


「よし、これで完璧。

緊張してる花嫁に何か言ってあげて。」


ルークがそう言い、シーラのいる部屋をそっと開けた。


そこにいたのは…


「あ!ルーン!やっと戻ってきた!

もう!遅いよ!」


「……/////////」


世界で一番美しい花嫁だった。


「僕は会場に戻るよ?

シーラのことは頼んだからね。」


惚ける俺を置いてルークが式場へ瞬間移動した。


「シーラ……本当……本当にすごく綺麗だよ。」


俺の初恋、大好きだった人、俺の全てをかけて幸せにしてあげたかった人。


「そ、そうかな?えへへ////」


あの英雄王から奪おうと躍起になったこともあった。


だけど、今は身を引いて本当によかったと思ってる。

だって、シーラをこんなにも可愛く笑わせれるのはナイトだけだから。


「シーラなら大丈夫。

緊張しないで、いつものシーラでいて。

シーラは本当に素敵な女の子だから。」


シーラを心底愛した俺が断言する。


差し出した手をしっかりした様子で取ったシーラ。

俺が何か言うまでもない。



君は世界で一番幸せな女の子になるんだから。

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