sideナイト

コツ…コツ…コツ……


石造りの階段を降りて行くと冷たい風が全身にまとわり付いた。


「ハハ…。」


シーラとルークは今頃慌てふためいているだろうな。

お利口さんにしていた獣の鎖が解けてしまったんだから。


シーラとルークが裏で繋がっている事は手に取るように分かった。


シーラは本当にわかりやすいからな。


どうして二人がコソコソ俺に隠れて繋がっているのか、俺なりに考えてみた。


一瞬、シーラとルークが男女の関係を持ったとも考えたが俺といる時間を考えたら不可能に近い。


分岐点と言えば、俺の城に化け物が侵入してシーラが殺されかけたあの日だ。


一度、ルークに飛ばされてシーラとルークが二人きりになった事があったな。


口の上手いルークはその場をどうにか誤魔化したが考えれば考える程おかしい。

たった数分の間に二人は何かの口裏を合わせたんだろう。


で、その何かって言うのはおそらく今回の犯人だ。

二人は俺が犯人を絶対に殺す事を知っている。

それを止められないと知っているから二人で一生懸命隠しているんだろう。


俺の地位でも許されない殺人、それはもう皇族しかありえない。


そうなってくれば後は簡単だ。

俺の城に化け物を放ってまでシーラを殺したかった人物、それはマリア皇女だ。


シーラがいなくなれば俺が結婚を承諾するとでも思ったんだろう。


俺がマリア皇女と結婚すれば、皇族どもは俺の戦闘力を掌握できるからな。

俺を今以上に使いたい奴らからしたらこの結婚は喉から手が出る程欲しいものになる。


ミザリーを殺したのも皇族が放った刺客だ。


おそらく、あの地下で何か見てはいけないものを見たんだろう。


それで殺された。

地下と言えば俺は今、このバカみたいにデカい城の地下牢にいる。


「こんなに簡単でいいのか?

もっと苦労すると思ったんだけどな。」


地下牢には俺の城を襲った化け物が何匹も閉じ込められていた。


かなり暴れているが声や音は聞こえない。

牢の一つ一つに防護魔法と防音魔法がかかっているんだろう。

これで決まりだな。


あの化け物はここで作られ俺の城に放たれた。


俺は自分の城におかしなものが紛れ込んでかなり気が滅入って精神が崩壊したからなぁ?


どんなにつらかったか、気高い皇族の皆々様にお伝えしてやらねぇと。


「さぁ、化け物ども。お散歩の時間だ。外の世界を…」



ガチャ!

ガチャ!

ガチャ!

ガチャ!

ガチャ!

ガチャ!

ガチャ!


「存分に楽しんでくれ。」

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