第5話 彩羽の家に行ってみよう(○○編)
彩羽に思いを告げられてから、一カ月が経過しようとしていた。
彩羽は男子のクラスメイトと楽しくおしゃべりしている。告白失敗の傷跡は、大部分はふさがれたのかな。
アクションを起こさなければ、彩羽と距離を詰めるのは難しい。こちらから動いて、ハートをわしづかみにしてみせるぞ。
彩羽に会うためには、自宅に行くのが手っ取り早い。最強すぎるアイデアに対して、無意識のうちにニヤニヤとしていた。
本人に実家を聞くのはタブーなので、第三者の中から一人をチョイスしたほうがいい。彼の交友関係から、ある一人の男が導き出された。
「要人君、ちょっとだけ話があるんだけど・・・・・・」
「満さん、どうかしたの?」
「彩羽君の家を訪ねてみたいんだけど、どこにあるのか知ってる?」
要人は数回頷いたあと、簡単に説明をしてくれた。
「満さん、ざっくりとしているけどわかるかな?」
要人から伝えられた場所は、葵の住んでいるマンションと同じ。こんな偶然もあるのだなと思わされた。
「元気を装っているけど、満さんのことを忘れられないみたいなんだ。家を訪ねてあげたら、力になれると思うよ」
元気そうにしているけど、実は引きずっているのか。良い情報を得たことに、満足感をおぼえていた。
「あいつ、顔色が悪すぎるだろ。料理が得意なら、おいしいものを作ってやってくれ」
料理は得意分野だ。おいしいものを調理して、距離をぐっと縮めていけるといいな。
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