第4話 二度目の告白はまだかな、まだかな(○○編)

 彩羽に告白されてから、二週間が経過した。


 告白に失敗した男は、あからさまに距離を取るようになっていた。はたから見ていると、ゴキブリさながらの扱いを連想させるくらいに。好きといっていたのは、幻だったのかな。


「もう一度くらいは、告白してくれてもいいのに。すぐに引き下がるような男は、女を引っ張っていくことはできないぞ」


 空に視線を送ってみる。右から左に動いている雲は、彩羽の耳たぶと重なっているように思えた。


「彩羽君のことを考えることが多いよ。私はどうしちゃったんだろう」


 一度目、二度目に告白してきた男については、すぐに忘れていたのに、三度目に告白した相手はそうはいかなかった。忘れようとすればするほど、相手に対する思いは強くなっていく。


「心、どうしたの?」


「ふとしたときに、彩羽君のことを考えているんだ。私、どうしちゃったんだろう?」


 葵は指を左右に振ったあと、


「それはきっと、彩羽君のことが好きなんだよ」


 といった。予想外の言葉をぶつけられたため、すぐに反応できなかった。

 

「彩羽君のことが好き・・・・・・」


「そうだよ。好きだと思うからこそ、頭の中に浮かんでくるんじゃない。嫌いだというパターンもありえるけど・・・・・・」


 彩羽のことが好きなのか、嫌いなのかを自分に問いかけてみる。数秒後、明確な答えが浮かんだ。


「私は、す・・・・す・・・・・」


「す」と 


「早く行動に移さないと、相手の心は離れていく。鉄は熱いうちに打ての格言通り、すぐに行動しないといけないよ」


「どんなことをすればいいの?」


「アプローチをかけていくんだよ。露骨すぎると嫌われるから、さりげなくやっていったほうがいいかもね」


「そうだね。やってみる・・・・・・」


「一人の親友として、心のことを応援するからね」


「葵、ありがとう・・・・・・」


 アクションを起こせば、いい結果が転がり込んでくるはず。そのように考えることで、もやもやとしたものは一気に吹き飛んだ。

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