第6話 自宅の前に○○が立っていた
アパートの部屋の前に、女性が立っている。一ミリも予想していなかった展開に、心拍数は自然と高まっていた。
「彩羽君。ヤッホー。遊びに来たよ」
アパートの前に立っていたのは、満面の笑みで告白を一刀両断した女。目の錯覚を起こしたのかと思い、頬を数回叩いた。
「満さん、どうしてここに?」
「彩羽君と話をしたくなったから・・・・・・」
自宅にやってくるのではなく、学校で話をすればいいのに。心の行動力は、常識から完全に外れている気がした。
「満さん、ここをどうやって突き止めたの?」
「それは内緒です。彩羽君には教えられません」
最初に思い浮かんだのは、うしろをつける方法である。このやり方ならば、確実に住所を突き止めることができる。
「かわいい女の子が遊びに来ました。家の中に入れてください」
心のお願いに対して、自分でも信じられないほど、冷たい態度をとっていた。告白失敗したことで、心に変化が生じているのかな。
「いろいろと忙しいんだ。自宅に戻ってくれ・・・・・・」
昼寝、ゲーム、昼寝、ゲームで、やること三昧。告白を振った女に、かまっている余裕はなかった。
「いれてください、いれてください、いれてください・・・・・・」
首を縦に振らないでいると、心のさらに声をエスカレートさせた。
「いれてください、お願いします。いれてください、お願いします」
近所迷惑を起こすと、いろいろな人から白い目で見られる。今回だけは家の中に入れることにした。
「家の中に入ってもいいから、いい加減にやめてくれ・・・・・・」
「ありがとうございます。家にあがらせていただきます」
脅迫同然のやり方で、家に上がってくる心。満面の笑みでNGを突き付けた女は、頭のねじが1本、2本は飛んでいると思った。
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