第7話 勉強

 二人が武志の部屋で勉強していると、真理がお茶とお菓子をお盆にのせて持ってきた。


 「勉強は進んでる?」と真理。


 「あたりまえだ。裕太は数学の天才なんだよ。しかも説明がうまいから、教師どもの授業よりわかりやすいんだ」と武志。「なあ、オレの家庭教師になってくれよ。給料出すからさ。」


 「すごいのねえ。私も教えてもらおうかしら」と真理。


 「姉貴のFランレベルなら余裕だろ」と武志。


 「大学の数学ですか?」と裕太。


 「大学って言っても文系だからよ」と武志。


 「文系だけど、超ムズイのよ。ちっともわかんないの」と真理。


 「経済学部ですか?」と裕太。


 「そうよ。なんでわかるの?」と真理。


 「経済学は数学を使うから」と裕太。


 「わたし、教科書持ってくるわ」と言って真理が部屋を出て行った。



 「これわかる?」と武志の部屋に戻ってきた真理が教科書を差し出した。


 裕太が「経済学のための数学基礎」と書かれた本を手に取ってぺらぺらとめくって、「大体ならわかります」と言った。


 「すごいわねえ、私の部屋に来て宿題見てよ」と真理。


 裕太が驚いていると、「ちょっとだけ見てやってくれよ」と武志が立ち上がりながら言った。


 裕太も立ち上がって、武志と真理について部屋を出た。



 真理の部屋はきれいに片付けられており、棚にはトロフィーが並んでいる。


 「姉ちゃんは空手をやってるんだ」と武志。「大学行けたのはスポーツ推薦で入試を受けられたからだよ。」 


 「へー、すごいですね」と裕太は感心した。


 「この問題だけど」と真理はプリントを見せた。

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