第15話

 たとえ人を襲わずといえども、人々の畑を襲うことは十分な罪業である。

 また、怪物と化してまで深い罪業を重ねゆくことは黒曜教会の教義として、貴方自身の考えとしても、許容できるものではない。


 なぜなら怪物として罪業を重ねてゆくことは、怪物と化すより前の、人間としての生を穢すことに繋がってゆくからだ。

 自覚無く重ねられるその罪業は、他者が断ち切ってやらねばならない。

 それゆえに貴方は自身の信念、そして断罪者としての使命をもって、怪物の討伐を心に誓う。


 武器の手入れを一通り終えた貴方は、戦闘服を着込んでゆく。

 貴方の着込んだ服は黒一色の断罪装束と呼ばれる代物で、これもまた、黒曜の神による加護が全体に渡って張り巡らされていて並の服よりも防御力が高い。


 履いている黒革のブーツは靴底に黒染めの鉄板を仕込んだ特別製で、これもまた断罪者たちが好んで用いる武器の一つである。


 忘れ物や落とし物がないかを確認し、マントを羽織って外へと出る。

 時間を掛けすぎたきらいはあるが、しかし準備は万全で、陽も沈みつつある。

 昏い罪業を断ち切るには、丁度の良い頃合いだろう。

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