第二章 ここほれニャンニャン

第6話 ステータス確認

 ふう。しごおわ。


「ただいまー」


「にゃー」


 仕事から帰ってボクがまずやることは、ビビの抱っこである。

 ビビも嫌がる素振りを見せず、近づいて抱っこをねだってきた。ネコってあんまり触られたくないみたいだけど、うちのコは好意的だ。


 ゲーム内限定でビビと会話ができるから、なにをしてほしいのかはある程度わかるようになった。触ってほしくないところも。


「ちょっとまっててねー。ごはんだよねー」


 秒で、ビビ用の肉缶とカリカリをあげる。


「まってー。今作ってるからー」


 缶を開けているボクの足元に、ビビが身体をスリスリしてきた。


 ああ、飼い猫あるあるだー。おねだりされたら、なんかサービスしちゃおうかなー。


 人類はネコに支配されいているって聞くけど、あながちウソではないのかも。


 ビビ用に、お水とカリカリ、無塩の煮干しは常備してある。それでも、やっぱり作りたてが一番好きみたい。


「はいどうぞー」


 ボクがエサを持っていくと、ビビは所定のエサ場にちょこんと待機する。おすわり状態で「にゃあ」と鳴く。


 ああ、これはいつ見ても癒やされるなあ。


 換えのカリカリと肉缶の他に、ニボシも追加した。


「お風呂上がりに、おやつもあげるからね」


 ビビが食べている間に、ボクはお風呂に。


 早くゲームがしたいけど、日々の疲れを落とさないと。前に激務から現実逃避したくてゲームに没頭していたら、寝落ちしてしまった。それ以来、身体の疲れは事前に取るようにしている。


 昨日も、ゲーム内で大変なことが起きたからなー。


 お風呂から上がって、料理の支度をする。

 

 食事は作り置きしてあるので、レンチンで十分だ。昨日のお休みの間に、一週間分の夕飯を作っておいた。


 今日の夕飯は、耐熱容器に入れておいた肉じゃがと、解凍した手作りおにぎりだ。


 ボクはご飯を食べつつ、ビビにチューブおやつを。

 

「うん。肉じゃがはちょっと固いけど、これはこれで食べごたえがあるね」


 ボクは料理なんて、得意ではない。レシピサイトと日々格闘をしている。

 これで、ビビとの時間が作れるというもの。


 食べ終わって、さっそくログイン。


 スタート地点が変わっていた。


「ここが、もらった畑か」


 ボクが手に入れた畑は、町外れにある。

 商業施設や冒険者ギルドからは、さして遠くはない。

 これは、すごい利便性の高い土地かも。

 急ごしらえっぽくて、丸太などが無造作に置かれていた。どうやら建材用に、乾燥させているみたい。


『ケントご主人、会いたかったニャー』


 ビビが、うれしいあいさつをしてくれる。

 昨日と同じように、話しかけてきた。

 

「ボクもうれしいよ。ビビ」


『これがニャアたちの、新しく暮らすお家なのニャー』


「まだ土地だけで、家はこれからだね」


 建材があるってことは、自分で家を建てるスキルがあるのかも。


 さて、さっそく昨日の冒険のステータスを見る。


「おっ。結構貯まってるな」


 レベルが一気に、一五ポイントくらい集まっていた。


 PペットRランFファクトリーは、レベルが上がるとステータスポイントをもらえる。一つレベルが上がるごとに、三ポイントだ。


 今のボクのレベルは、【六】に上がっている。


「大半は、体力に振ろう」


 半分を体力に割り振った。残りは均等に。


「で、スキルポイントは……」


 PRFには、スキルポイントというものも存在する。

 こちらも、レベルが一気に五も上がったため、一五ポイントもらえていた。


 ある程度は、防御に振っておく。


 他に、生産系のスキルは、と。


「やっぱりだ。【建築】スキルがあるよ」


【建築】スキルの他には、【鑑定】と【農耕】のスキルを取る。


 畑があるけど、先にどうしようか。


 建材と畑の間には、報酬ボックスがある。中身は、薬草の種だ。何種類もある。


「薬草畑だよね。どうしよう?」


『種を植えておいて、育てている間に家を建てるニャ』


「そうしようか」


 スペースも、そんなに広くはない。民家のお庭くらいの、スペースだ。ここから、拡張していけばいいよね。


 ひとまず耕して、薬草の種を植えていく。


「これ、なんだろ?」


 ひときわ大きな種粒が、報酬ボックスに入っていた。

【鑑定】スキルをもっと上げると、この種がどういったものに育つか見られるんだろうけど。

 もうちょっと成長してから、確認しよう。


『こういうのは失敗してもいいニャ』

 

「だよね。もらいものだからね」


 最初からなかったと思っていれば、特に痛くはない。

 それに、ヴォルフさんのことだ。ワケのわからないものなんて、プレゼントしないだろう。


 じゃあ、家を建てよう。


 といっても、普通に丸太をカンカンしているだけで簡単に家が建った。この辺は専門知識がなくてもよくて、いいね。


「あっちは、ベルさんかな?」


 向こう側の草原に、ドワーフさんたちがゾロゾロと集まっているポイントがある。あちらがベルさんの土地か。


「おとなりさんだね」

 

『長い付き合いになりそうだニャー』


「向こうは攻略勢みたいだから、めったに会うこともないだろうけどね」


『そうでもないニャー。ああいう人たちは、仲良くしてくれるニャー』


「そうかな。だとありがたいけどね」


 さて、家も建ったことだし、落ち着いてビビの様子を見てみよう。


 ビビの首輪に付いている、冒険者を確認した。


 ペットは首輪に冒険者証が取り付けられていて、飼い主だけが確認できる。


「え、ウソでしょ!?」


 なんと、ビビのレベルが一〇も上がっていた。

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