第7話 ユニークスキル【ここ掘れニャンニャン】

「ステータスもスキルも、一気に三〇ポイントももらえるじゃないか」

 

 ボクは、愛猫ビビのステータス表に驚愕する。


『ニャアもビックリしてるニャ。ケントご主人』


「で、スキル振りをどうするかは決めたのかい?」


『ご主人のファイトスタイルに、ニャアが合わせるニャ』


「それでいい? ボクは、ビビが自分でやりたいようにやればいいと思っているよ」


『ありがとうニャ。こう考えているニャ』


 ボクが防御と回復に回るため、ビビ自身は攻撃と素早さを主体にしようと考えているみたい。

 魔力と、敏捷性を上げる方向に。


『これでいいニャー』


 より魔法使いとして、ビビは強くなっていく。


「スキルポイントだけど、どうするの?」


『ちょっと気になるスキルがあるニャー』


 ビビが、スキル表を見せてくれた。


「なんだこりゃ?」


 農耕や採掘以外に、【ユニークスキル】なるものが表示されている。


「どんな効果があるんだ?」


『言葉の下に、はてなマークがあるニャ。それを触ったらいいのかもニャ』


 ワードの下にある【?】マークをタップした。


 どうやらTIPS……つまり、解説が読めるらしい。


~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ 

 

【ユニークスキル】


 ペット専用のスキル。ペットのプレイヤーにのみ、特殊効果を得ることができる。

 

~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ 



「キミの会話能力は、スキルで得たものじゃないのかい?」


『ニャアも、どうしてケントご主人と話せるようになったのかは、わからないニャ』


 ゲーム限定の能力だから、てっきりスキルだろうと思っていたんだけど。


『それにこのスキルは、ご主人がセッティングする必要があるニャ。ニャアが勝手に扱えないんだニャン』


「だよねぇ。うん」


 ビビが自分で操作して、会話能力を得たわけじゃないと。


「それで、このスキルってどんなことができるんだろう?」

 


 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~


 

 ユニークスキル【ここ掘れニャンニャン】


 いたるところに眠る、レアアイテムを掘り出せる。

 アイテムは、素材に限らない。


 

 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~


 

「想像以上に、デタラメっぽいスキルだね」


 五レベル分のポイントを消費するだけあって、強力すぎる。


「どうする、ビビ?」


 あまりにも強すぎるので、今習得するのはもったいない気がした。


『こういうのは、とっとと習得するにゃ』


 好奇心旺盛なのか、ビビはスキルを身につけたいという。


「いいの? ボクとしては。ボチボチ攻略でも構わないんだけど」


『こういうときは、面白そうな方にBETするニャ』


 攻略ガチ勢みたいなことを、ビビがいい出す。

 

『ケントご主人が見ていた動画、ニャアも見ていたニャ』


「ああ、『自己投資に躊躇するな』ってやつ?」


 ボクは前の会社から転職する際に、いろんな自己投資系の動画を見ていた。

 おかげで、ビビとの時間を作ることに成功したのである。


『そうニャ。あれも、たとえがゲームだったニャン』


 たしか、「RPGでレベル三〇になると、仲間が強い技を覚える。しかし自己投資にためらいがない人は、アイテムで低レベル状態の仲間に覚えさせる」と。


『ここで自己投資しておかなければ、序盤のボスで苦戦して先に進まない可能性がある、だったかニャー?』


「そうだよ。よく覚えているね」


 ここでためらっていても、このスキルの有用性がわからないまま進むことになる。

 せっかくだ。ビビも覚えたがっているし、習得させよう。


「よし、覚えさせるよ。いいね」


 ボクはビビの冒険者証に触れて、スキルポイントをユニークスキルに割り振った。


『習得できたニャ』


 今のところ、特にビビの身体に変化は見られない。


 だが突然、ビビのおヒゲがピクピクと動く。畑の方へ移動していった。


『ここ掘れニャンニャン、だニャン』


 ビビが畑の外れ、枠の角を、前足でつつく。


「掘るのは、ここでいい? ビビ?」


『そこに、アイテムがあるニャ』


 気配だけで、アイテムを見つけられるなんて。

 

「いくよー。よいしょ」


 ビビが指定した地点に、クワを振り下ろす。


 しばらくすると、カキンと何かがクワを弾いた。


「宝箱だ!」


 こんなところに、宝箱が埋められているなんて。


「開けてみるね……。すっごい! なんだこれ!?」


 見つけたのは、【テクノ・ブラスター】という杖だ。


 

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 ユニークアイテム【テクノ・ブラスター】


 古代文明であるエナジー・リアクターを搭載した杖。

 リアクターの効果により、魔力を一部だけ肩代わりしてくれる。


 魔法を唱える際、消費する魔力が八割に抑えられる。


~~~~~ ~~~~~ ~~~~~

 

 

「すごい、魔力消費量が八〇%に軽減されるって。【アイテム合成】をさせても、効果が反映されるって書いてるよ」


 このゲームには、アイテム合成ってのがある。アイテム同士をくっつけて、効果を重複させるのだ。


「これは有用だね。どんどん掘り進めていこうか?」


『いこうニャ』


 今日の目的は、周辺を歩いて、お宝を掘るポイント探しに決まった。


「他のスキルはどうしようか」


『ライトニングスピアの、威力を上げたいニャ』


「わかった」


【ライトニングスピア】に、スキルポイントを振る。これで、複数の敵を巻き込むことが可能になった。

 魔力消費量が多少上がってしまったが、アイテム【テクノ・ブラスター】の効果で相殺されている。


 ほかは、農耕や探索にポイントを振った。

 

「よし。おでかけしよう」

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