第20話 因果応報。
オンドリューは、基本的に、『打算的な生き方』しか出来ない。
決して『情』を信じない。
愛情や友情を完全否定することはないが、鉄火場において、ソレに頼ることは出来ない
と理解している。
……ゆえに、『コトをシンプルな話にするため』に、
『部下との関係性を明確に、目に見える形にするため』に、
オンドリューは、配下連中の福利厚生にも気を配っている。
そんな、ある意味で、合理的な考え方が出来るオンドリューだが、
しかし、それでも、『差別意識』という愚かしさからは逃れられない。
それが人の業。
命の業。
……立ち向かってくる『オンドリューの配下たち』に対し、
カドヒトは、
「お前らがどういう人間性なのか……その辺も、もちろん調べてある」
そう言いながら、
『配下連中の中の一人の首』を、正面から、ギリっと片手で掴んで、
「うちの教団には、てめぇらに『ムチャクチャされた子供』の『親』とかもいるんだよ。胸糞しか量産しない、生きる価値皆無の糞ども。人の痛みが理解できないテメェらに、命の重さを教えてやるよ」
オンドリューの配下は全員、この世界において、かなりの強者である。
だから、これまでは『それなりの自由』が許されていた。
『弱者をいたぶる自由な強者』でいられた。
……しかし、カドヒトを相手にしている『今』、この瞬間において、
彼らは、全員、『いたぶられる弱者』の側に回るしかない。
因果応報。
誰かに与えた痛みは、いつか、自分に帰ってくる。
鬼の顔をしたカドヒトは、『オンドリューの配下A』をズッタズタにしていく。
腕を引きちぎり、眼球を砕き、足の骨と肉をバラバラにしていく。
泣こうが喚こうか、そんなものでカドヒトは止まらない。
なぜなら、
「お前らにいたぶられてきた連中は、全員、お前らに慈悲をこうたはずだ。それをシカトしてきたんだから、お前らの声だってシカトされて当然だろ? お前らの声だけが聞き届けられるなんて、そんなバカな話はあるはずないよなぁ?」
この『絶対の論理』を持ちだされてしまえば、
まともな感性を持つ者なら黙るしかない。
己の罪を悔いるしかないだろう。
しかし、本物の馬鹿というのは、まともな感性という鎖には縛られない。
「なっ、なんで、俺がこんな目にぃいい! ひぃいい! やめてぇええ! もうやめてぇえええええ!」
と、本当に『分からないと言う顔』でそう叫ぶ配下Aに対し、
カドヒトは、烈火のような瞳を向けて、
「それすら分からないバカに、生きる価値があると本気で思うか?」
バチギレの重たい拳で、配下Aの顔面を陥没させる。
それだけで終わるほどカドヒトは甘くない。
徹底的に鼻を潰し、喉を裂き、耳を引きちぎり、指を砕く。
そんなカドヒトの暴行を止めようと、
ジバが襲い掛かってきたが、
「呪縛ランク6」
すさまじく高位の呪縛で動きを止められる。
「う……ぐぐっ! ……な、なんという……凶悪な魔法……こんな……」
ジバがまともに動けないとなると、もはや、配下連中になす術はなくなる。
グチャグチャにされている配下Aを、戦慄の表情で見つめるしかない配下たち。
カドヒトは、冷たい目のまま、
「できれば、お前らが、『これまで魔人たちにやってきたこと』を、まるまる全部、そっくりそのまま、叩き込んでやりたいところだが……流石に、そこまでしているヒマがねぇ……俺も忙しいんでなぁ。だが、簡単には終わらせないぞ」
そう言いながら、ボロボロになった配下Aの体を蹴り上げる。
カドヒトの足元で転がっている配下Aの肉体は、もう、ほんと、やべぇぐらいグチャグ
チャのズッタズタ。
潰された臓器、切られた腱、消えた五感。
殺さないように注意しながら、苦痛を与えることを徹底した結果。
「このまま死ねると思うなよ、カス。怒り狂った俺の前だと、死は、それ以上の苦痛を与えられないという意味で最大級の慈悲。だが、俺はお前らに、慈悲を与える気はない。今後、ずっと、介護なしでは生きられない社会的弱者として生きていってもらう。ちなみに言っておくが、俺のバラモウイルスは、そこらの解呪士じゃどうにもならねぇ。回復魔法や欠損治癒でどうにかなると思うんじゃねぇぞ」
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