第53話


「っっ…」


ハヤトくんはテーブルのしたでぎゅっと拳を握ってる


許せないよね

ハヤトくんはスイレンの気持ちがよくわかるんだろう


ハヤトくんはずっと…タクトと比べられ…いらないと言われ続けて生きてきた人だから


私はそんなハヤトくんの手をそっと包み込んだ



「自分の組を守るために、そこまですんのが組長だ。現にそのおやじさんがいたから、今まで南蛇ヰはいきてこれた。組を背負うってのは、容赦ない強さとぶれない芯をもつやつこそ人の上にたつべきだ」



そうなのかもしれない


この街は弱肉強食


生きていくには弱さを捨て、強くならなければ生きていけない


これが、アウトローな世界で生きていく人が選んだ道


でも、やっぱり私には理解できない

どうしてこんな簡単に切り捨てられるんだろう



私が言わなければ若木はつぶれなかった

若木を潰さなかったらリンカは戻ってこなかった


このことはみんなが円満に解決することだと思っていた


けど、そんなわけないよね


ー光があれば反対には影が生まれるのは自然の摂理


ハヤトくんにとってコウちゃんが光なのなら

スイレンにとっての光は


「ユウジンは…これから」


「ふっ…さぁな」


「さあって…ずっといっしょにいれますよね?あの2人が離れる想像なんて…」


“ユウは誰にも渡さない”


「できねぇか?そうか?俺はできるけどな」


「え?」


「アイツらはたまたま居合わせただけだ」


「そんな、こと…」


“俺は去りたくなったら、去りますよ”

“自由気ままな野良犬っすから”



ユウジンがスイレンのもとから離れる想像は簡単にできた


まだあの2人のことを知らないから

あの言葉をきいてしまったから



“あんたは誰にも渡さない”


スイレンとユウジンについて、もっとしりたい



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