第36話
ユウジンが怒るスイレンをいなす態度はいつものこと
だけど、中から聞こえた怒鳴り声が少し籠ってるように聞こえ、もしかして泣いてるのかな
「…なんかあったの?」
ユウジンがゆっくり私をみると
「……まぁ、ちょっと」
「ははっユウジンがまーたスイレンさんおこらせたとか?」
「…それなら…まだいいんすけどね」
「え?なら、だれが…」
「それは…」
ガラッ
突然開いた視聴覚室の扉
ツインテールに真っ赤な顔、腫れた瞳、目をうるうると輝かせたスイレンがたっていた
「…言わなくていい」
「「え…?」」
スイレンのいつものか細くきれいな声ではない
「…黙ってなさい…ユウジン」
圧のこもった威嚇のような声
スイレンがフルネームをだすとは…これまた驚き
ユウジンはそれをきいても同様することなく
「…はい」
「あんたはあたしの犬なんだから
あたしのいうことだけきいてればいーの」
「…」
「誰がなんといおうと
あんたはあたしの…日下部悠仁よ」
「…そっすね」
「…絶対…誰にも渡さない」
それは私にいってるのか
ハヤトくんにいってるのか
そうだ…さっき、ハヤトくんにもいわれた言葉
今思い出した
ハヤトくんは誰に向けていったんだろう
そして、スイレンは誰に向けていったんだろう
この答えを知るのはもう少し先の出来事
二人に私たちどころかなっつんたちみんなが巻き込まれていくことはまだ、気付かない
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