第27話
「あ、そーだそーだ」
「ん?」
リンカが思い出したように私に近づき、マユちゃんにきかれないように小さな声で
「シューがなにかしたの?」
「あー…それね…ここでは言えないよ…だって…」
私もできるだけ小さな声でなっつんが近くにいることをアピールした
「あー…なるほどねー」
わかってくれたリンカ、よかった察してくれた
リンカならわかるかな?シュウくんのこと
「あ、ねーねーリンカ…」
「なに?」
「シュウくんってなっつんのこと…すき?」
リンカは首をかしげながら考えて…
「……好きなんじゃないの?」
「そーじゃなくて、特別好き…的な」
「それはないんじゃない?アイツにとって女は平等で対等…特別好きとかないよ」
「そっか」
ナツキのためならなんでもするよって…もしかして他の子にもいってるのか
素でいえるからこそみんながシュウくんのことをすきになるんだ
「俺はシューと同じ考えじゃないけど、気持ちはわからなくもない」
「というと?」
「俺もランカのこと好きだし」
そんなん、私だって…
「…あははっなんだ、それかーそれなら私もリンカのこと好きだよー」
男だとしても、友達として好きだと思うことはあるもんね
好きだといわれたら、誰であろうとやっぱりうれしい
「…ふーん、じゃーさ」
「ランカ!!」
「っ!…ハヤトくん」
私とリンカの目の前にハヤトくんがいつの間にか立って睨んでいた
「ははっ…ハヤト、怒ってない?気のせい?」
「…怒ってねーよ、ランカお前もー約束やぶんのか」
「約束?」
「どんな約束?」
拳を握り、ぶんぶん降りながらなにやら葛藤してる模様のハヤトくん
「…~…し、しゃべんなっつったろうが」
「ははっ」
「え、リンカはいーでしょ?友達なんだから」
「それはお前だけ……リンカ、お前マジで…」
「ん?」
お前だけってなんだい?
「俺はいつだってマジー」
リンカは笑いながらハヤトくんをからかってるみたいだ
頭を掻いたり、拳を振り回したりハヤトくんはなにを考えてるんだろう
「っ…だ~…もーいー…ランカ、いくぞ」
ハヤトくんからグイっと腕を捕まれ、立ち上がった
「わっ…い、いくって…」
ずけずけと私をひきつれ、屋上の出口へ向かう
「ははっいってらっしゃーい」
「あんたらまたいくんだー」
「いーじゃん、いつものことで」
みんなはわたしたちがどこへいくかわかってるらしく、私もわかったから…とてもはずかしい
力強く扉をあけ、ふとみえたハヤトくんの横顔は眉をしかめ口をとんがらせていた
怒ったな…
リンカと話しただけなんですけど
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます