2024年10月25日 割れない風船
人類がまだ火を見つけてすぐの頃、ある1つの風船が空中を漂っていた。それは世界中を飛び回り、各地の人間達の興味を引いた。人類は風船を捕らえるために知恵を絞った。エジプトやギリシアでは風船の高さを求めるために幾何学が発展した。高い山に登れば風船に手が届くと考えた人々は、山岳地帯を攻略した。命がけの行軍だった。医学と生物学が発展した。
火薬を利用して上空まで捕獲器を飛ばす技術を手に入れた。火薬の性能を上げるために化学が発展した。また、力学の基礎が築かれた。それでも捕まえられなかったから、人々は気球、飛行船、飛行機を生み出した。ついに風船を捕まえることはできたが、絶対に割れない素材でできていることがわかった。物質の性質を根本的に調べる学問が必要になった。分子、原子が発見され、量子力学が生まれた。人類は、どうにかして風船の割るために、これからも科学と技術を発展させ続ける。
これらはすべて、時空犯罪者が仕組んだことだった。人類の文明は戦争によって発展したという主張がなされているなか、そうでない要素によって人類が文明を手に入れる歴史もあったのではないかと、とある歴史哲学者が考えた。「絶対に割れない風船」を人類の究極の目標とすることで、平和的に文明を発展させることを目指した。
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