死ぬのは怖いね

パソたん

揺れる

今日死んじゃおう。ぐぐぐぐぐぐ、、ぷちっ。生きちゃったな。自殺に失敗した。薬が増えた。学校に行きたくないな。誰と話しても笑えやしないな。駅の人混みに揉まれて、空気が薄い、感情も薄い、お店の鏡に映るボサボサの頭、ハイライトのない目。


今日一日、自殺に失敗した事で頭がいっぱい。部屋にある縄はヨレヨレ、体重が重くて切れちゃったのかな。ダイエットでもしようかな。死ぬために痩せるなんて笑えちゃうね。もっと丈夫な縄を買おうかな。だってだって、飛び降りは失敗しちゃったから。もう怖くてできないや。はぁ、死ぬのが怖いな。生存本能って厄介だな。でもね、誰か僕に大丈夫って言って欲しいな。誰か抱きしめて欲しいな。死にたいな。抱きしめて欲しいな。苦しいな。星が満点だな。今日は自殺に失敗して良かったな。


夢を見た。べちゃ。赤くてぬるぬる。あーー。ハッとした。汗がたくさん出ている。嫌な朝だ。カーテンを開ける勇気も気力も無い。朝を確認するのは恐ろしい事だ。朝に起きないといけないのは、朝と夜という概念を作った人間の仕業だ。僕は寝て起きてるだけなのに、学校は朝しかやってない。夜はやってない。カーテンを開けるのは怖い。朝だったらどうしよう。学校に行かないと。怖いよ。だって視線が怖いよ。先生が怖いよ。同級生が怖いよ。震えたまま布団の中にくるまって泣いていた。


お父さんとお母さん。生活のために働いている。幸せって何だろう。お父さんお母さんは僕のこと嫌い?大丈夫って言って欲しいな。好きだよって言って欲しいな。なんで僕の事産んだの?お金がないとか僕の前で言わないで。僕のせいなんでしょ?ご飯を残しても怒らないで。大丈夫だよって言ってよ。薬が増える。睡眠導入剤が効かない。大丈夫になってよ。僕、大丈夫になってよ。手首から不安が垂れ流れる。目から辛くてしょっぱい雫が流れる。腕がズタズタ。不安の数だけズタズタ。大丈夫って言って欲しいよ。ヨレヨレの縄。八階からの風。満天の星。今日は死のうとしなくて良かった。


明日は大丈夫になるかな。錠剤を喉に流し込む。お父さんとお母さん、明日は大丈夫って言ってくれるかな。学校の人達も大丈夫って言ってくれるかな。抱きしめてくれるかな?そうなら良いな。ぐぐぐぐ、ゆらゆら‥‥‥。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死ぬのは怖いね パソたん @kamigod_paso

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画