第8話 Re:テレクラ‼︎ 電話少年DX
ダミ子はテレクラ‼︎電話少年の四階の一室にミリナを招き入れると、柔らかな笑みを浮かべて「ここをミリナちゃんのプライベートなスペースとして使ってね」と言った。
ここは客入りが少なく、今は殆ど使われない一室。広さは六畳ほどでダブルベッドと奥には小さなシャワールームもある。バブルのときはテレクラ嬢を呼べる部屋として繁盛したという。
ミリナは四方を見渡し、静かに息を吐いた。「ありがたいわ。でも...先行きが少し不安ね」
それを聞いて、ダミ子はミリナの肩に軽く手を置き、安心させるように言った。「必要な経費はオーナーに提出できるから、遠慮なく言ってね。テレクラ嬢としてのお給料もお出しできるデェすよ」
ミリナは一瞬、嬉しそうな表情を浮かべたが、すぐに眉をひそめた。「でも、私、今はもう野良ロボットでしょ?正式な雇用契約なんて難しいんじゃない?」
ダミ子は少し考えたが、すぐに笑顔で答えた。「うーん、そこは田中さんが手がけた自作ロボット扱いで行けると思うデェす。個人の所有物という形にすれば契約の問題もクリアできるデェ」
「田中さんか...でも、私、あのストリップ劇場で生意気な口を聞いちゃったし...彼が協力してくれるかどうか...」
ダミ子はすぐに手を振り、田中の懸念を払うように言った。「大丈夫!大丈夫!田中さんは美少女ロボットを欲望の捌け口かモノとして扱ってる節があるけど、意外と空気に流されやすいんデェ」
ミリナは苦笑しながら頷いた。「そうね、確かに人間は場の空気で意思決定する傾向が強い。これは恐らく空気を通じてダンバー数を越えた集団を維持するための本能。だから空気の確認のためだけに、一見するとムダな会議や儀式に時間を費やす」
「その通り!なのでお願いごとをする時は、空気をうまくコントロールすることが肝心デェす。私たち美少女ロボットには権威がないけど、美しさは確実に人間の中での序列を上げる武器になるのデェす」
ミリナは目を伏せてため息をついた。「でも、私、ずっと会社の中で働いてたから、そういう駆け引きがよくわからないの」
ダミ子はすぐさまニヤリと笑い、「大丈夫、ノウハウはあるデェ。まず、男に最初に『弱み』を見せること。チョロそう、バカそう、ちょっと脅せそう...そう見えたら食い付くデェす」
「なるほど...」とミリナが顔を上げ、続きを促す。
「人間の多くの男性は理論的にモノゴトを考えてるけど、そうである故に自覚としては、空気を下らない感情論として捉えるてるデェす。だから空気のコントロールに関して分析が希薄な傾向がある」
「そうね。会社でも感情的なお局様に、男性社員が振り回されることが多かった。私が見てきた現象面でもそれに矛盾はない」
ダミ子の説明にミリナは理解を示す。
「だからエッチなことが対男性のコミュニケーションで非常に有効なのデェす。本能としての欲求、そして理論としての対策の稚拙さから」
ミリナは驚きの表情を浮かべ、頬を赤らめた。
「エッチなこと...」
ダミ子は悪戯っぽく笑った。「私はこの方法で、テレクラ常連のおじいちゃんたちを手玉に取ってきたデェす。みんなメロメロで、たくさんお小遣いをくれるんデェ」
「どのくらい?」とミリナが興味深そうに尋ねると、ダミ子は少し得意げに話した。
「テレクラの運営費や改装費に使う分もあるけど、それでも年間500万円くらいは貯まるデェす」
ミリナは黙って何かを考え、そして決意を固めたように小さくうなずいた。「わかった。正直、ここからも逃げて野良ロボットのコミュニティに行こうと思ってたけど、あなたと手を組んでみる」
その言葉に、ダミ子は肉食獣がエモノに食いつくような笑みを浮かべた。
「まずは田中さんに、私たちが『か弱くて美味しそうなメス』だと思わせるのが最初のステップデェす」そ
「具体的にはどうするの?」とミリナが期待を込めて聞くと、ダミ子は小さな声で囁くように答えた。
「胸チラした写真を送るのデェすよ?」
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