夢5

寝て目覚めてを繰り返し、夢がツギハギになって起きる前の短いシーンしか覚えていなかった。


この夢は三者視点から始まる。


地元の銀行、曇り空の下に、駐車場にひとつだけ真っ黒なハイラックスが映った。


その香水臭いハイラックスの助手席で手足を縛られていたのは私。足が体育座りみたいになって手は前に括られている。


運転席のドアが開いたかと思うと、乗り込んで来たのは中学生の頃の親友Hだった。


Hは身長が小さくて当時でも30cmくらい差があった。目のまん丸として女の子っぽい顔立ちをしていた。Hとしか遊ばないような私だったが2年の頃にHは引越しをしてしまい、もうここにはいないはずだった。


Hは車を走らせた。目の前の県道を右へ曲がりスーパーのある方に車を進める。


気づけば縛られていたロープは消え、私は普通に座っていた。


夢ではよくあることだが、車は全く進まず曲がってからは、中華屋の看板が振り抜けない、そのままの景色が流れていく。


空は雨が降る前の濃い曇り空だ。


そしてHは口を開き私に何かを話しかけている。しかし私は彼の声が聞こえない。またHの顔にもモヤがかかってきた。


そこで私は夢から覚めるのだと気がついた。


私は久々にH会えたのが嬉しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る