第18話 部隊強化演習
束の間の休息が過ぎ、再び戦の準備が始まった。織田軍は武田軍との対峙が再び迫っており、次なる戦いに備えて部隊の強化が急務とされていた。信長は、特に虎之助が率いる精鋭部隊にさらなる強化を命じ、実戦に即した演習を行うことを指示した。
「虎之助、今回の戦では、武田軍の騎馬隊にどう対抗するかが鍵となる。お前の部隊は既に精鋭だが、さらに磨きをかけてくれ。」
信長は強い口調で言い放ち、虎之助にさらなる期待をかけた。
「承知しました、信長様。必ずや期待に応えます。」
虎之助は力強く頷き、部隊の強化演習に全力を注ぐ決意を固めた。
その翌日、清洲城近郊の広大な野原で、演習が始まった。武田軍はその強大な騎馬隊で有名であり、虎之助の部隊はそれに対抗するため、機動力と戦術の両方で優位に立つ必要があった。虎之助は部下たちを前に立ち、厳しい訓練を開始した。
「今日から始まる訓練は、武田軍の騎馬隊に対抗するためのものだ。彼らの速さと力に飲み込まれないよう、こちらも素早く、そして効率的に動かなければならない。油断は禁物だぞ!」
虎之助の力強い声が響き渡り、兵士たちは一斉に応じた。
最初の演習は、隊列を組んでの機動訓練だった。武田軍の騎馬隊に対抗するためには、兵士たちが迅速に陣形を組み替え、相手の動きを読みながら対応する必要がある。虎之助は、兵たちが一瞬の判断で動けるよう、何度も訓練を繰り返させた。
「もっと速く!敵の動きを読んで、一歩先に動け!」
虎之助の厳しい指示に応え、兵士たちは汗を流しながらも一心に訓練に取り組んだ。
次に行われたのは、接近戦での剣術訓練だ。騎馬隊との戦いでは、騎兵が間近に迫る前に馬を崩す必要があり、そのための槍や剣の扱いが重要だった。虎之助は自ら先頭に立ち、部下たちに攻撃と防御の技術を一つ一つ教え込んでいった。
「敵の馬を狙え!騎兵そのものを倒そうとするな。馬が崩れれば、相手は無力だ。」
虎之助の的確なアドバイスにより、兵士たちは次第に騎馬隊への対応を体得していった。
数日間の厳しい演習の末、虎之助の部隊は以前にも増して強力な精鋭部隊へと成長した。兵士たちは、瞬時に陣形を組み替え、騎馬隊に対抗できるだけの技術と結束を手に入れていた。
演習の最終日、信長も訓練の様子を見守るために現れた。
「虎之助、この短期間でよくここまで仕上げたな。お前の部隊は頼もしい限りだ。」
信長の言葉に、虎之助は深く頭を下げた。
「全て、信長様のご期待に応えるためです。次の戦でも必ずや勝利を手にいたします。」
信長は満足げに頷き、演習を終えた部隊に向けて言葉をかけた。
「これから武田軍との決戦が控えている。だが、今日のような訓練を続ければ、必ず勝利を掴める。お前たちが織田軍の希望だ。胸を張って戦場に出ろ!」
兵士たちは信長の言葉に歓声を上げ、次の戦いに向けて士気を高めた。そして、虎之助もまた、再び訪れる決戦に向けて心を燃やしていた。彼の部隊は、これまで以上に強く、そして結束が固まった。あとは本番の戦場で、どこまでその力を発揮できるかが試されることになる。
決戦の時が近づいていた――。
続く
三英傑の故郷(仮) みなと劉 @minatoryu
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