第13話 次なる戦略と新たな決意

清洲城に戻った虎之助たちは、武田軍との激戦から一息つきながらも、心の中にはまだ緊張が残っていた。

武田軍の圧倒的な戦力と騎馬隊の速さを目の当たりにし、次の戦いに向けて不安と焦りが入り混じっていた。


城内ではすぐに作戦会議が開かれた。信長を中心に、主要な武将たちが集まり、今後の対応について議論を始めた。

虎之助も、若手ながらその場に参加を許され、慎重に耳を傾けた。


「武田軍の戦術は驚異的だが、彼らにも弱点があるはずだ。焦らず、冷静に次の一手を考えなければならない。」

信長は落ち着いた表情で会議を進めていた。


参謀の一人が地図を広げ、武田軍の進行ルートを示しながら話し始めた。


「武田軍は山岳地帯を越えて進軍してきた。彼らの補給線が長くなれば、そこに付け入る隙が生まれるでしょう。」


この意見に信長は頷き、さらに深く考え込んだ。虎之助はその様子を見ながら、次の戦いに向けて自分にできることを考えていた。


「補給線を断つか…確かにそれが成功すれば、武田軍の勢いを止めることができるかもしれない。」


虎之助は心の中でそう呟き、自分がどのようにその作戦に貢献できるかを思案した。


その時、信長がふと虎之助に目を向けた。


「虎之助、次の作戦ではお前にも重要な役割を果たしてもらうことになる。準備はできているか?」


突然の指名に驚きながらも、虎之助はすぐに答えた。


「もちろんです、信長様。命じていただければ、どのような任務でも全力を尽くします。」


信長は満足げに頷き、作戦の詳細を説明した。


「我々は武田軍の補給線を断ち、その間に前線での防衛を強化する。虎之助、お前は少数精鋭の部隊を率いて、敵の補給部隊を襲撃する任務に就いてもらう。」


「少数精鋭…」


虎之助はその言葉に緊張感を感じたが、自分の成長を信じていた。

今こそ、自分の力を証明する時だと思った。

会議が終わり、虎之助は仲間たちと準備に取り掛かった。信頼できる数人の戦士たちが選ばれ、彼らはすぐに出撃の準備を始めた。

これまでの戦いで培った経験を活かし、少数ながらも効果的な奇襲を仕掛けるために、細かい作戦を練っていった。

夜が更ける頃、虎之助は一人、城の外を歩いていた。

彼の心には千鶴の顔が浮かんでいた。再会した彼女の笑顔が、彼にさらなる勇気を与えていた。


「必ず勝ち抜いて、彼女にまた会う。そして、今度こそ彼女を守る。」


静かな夜空の下で、虎之助は改めて強く決意を固めた。

戦士として、そして一人の男として、守るべきもののために戦う覚悟が彼の心に満ちていた。


翌朝、虎之助と少数の部隊は城を出発し、武田軍の補給路を狙うために山中へと向かった。険しい道のりではあったが、彼らの士気は高く、全員が虎之助の指揮を信じていた。


「ここからが本番だ。絶対に成功させる。」

虎之助は自分にそう言い聞かせながら、目の前に広がる敵陣へと進んでいった。


続く


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