第22話

俺らが合コンしている場所は、ただのファミレスだ。


ドリンクバーを頼んでいるので、定期的に離席できることがありがたかった。


グラスを持って立ち上がり、適当にドリンクを入れた。


席に戻ろうとしたら、ちょうど隼先輩もドリンクバーコーナーに来た。



「海吏!どう?楽しめてる?」


「別に…ていうか、この後どっか行くんですかね?だったら俺、それはパスします。」


「カラオケに行くかもって話はしてたよ。…海吏帰っちゃうの?」


「はい。」


おそらく隼先輩は鈍感だから、女子たちのあからさまな反応に気づいてなどいないだろう。


でも、俺がこの場を楽しんでいないということはなんとなく察しているはずだ。


だから俺が帰ると言っても、特に引き留めることはない。


(クッソ惨めだろこんなん…)


なんとなく隼先輩がドリンクを入れ終わるのを待っている間、俺は改めてこの状況が苦しくなってきた。

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