第19話

「海吏くんはみんなの後輩なんだよね?普段から先輩たちと仲良しなの?」


あきらかに浮いている俺が不憫になったのか、一人の女子が突然話振ってきた。


「いや、別に……」


「こいつと遊んだのは初めてだよな!」


「えっそうなんだ!?」



瑠千亜の言葉に、女子たちが反応する。


その顔には、あからさまに「そりゃそうだろう。」「こいつと瑠千亜たちが普段から仲がいい訳がない。」「どう考えても不釣り合いだ。」

とでも言いたそうな表情が浮かんでいた。


「五郎くんはたちは、趣味あるの?」


俺の話題などほんの一瞬で終わる。


再び他の人へ話題が移ったことに安心しながら、俺は取り敢えず目の前の料理を食べていた。



「最近は甘い菓子を作ることが多い。」


「えっ!五郎くんが!?以外なんだけど!」


「どんなお菓子を作るの?勝手なイメージだと、和菓子とか作ってそう。」


「和菓子よりも洋菓子の方が好きだな。例えばシフォンケーキやガトーショコラ、マドレーヌにカヌレ。最近はバームクーヘンにも挑戦したよ。」


「すごーい!オシャレー!」


「食べてみたいんだけど!絶対美味しいじゃん!」


「こいつ、見た目によらず甘党だからな。確かに甘党の奴が作るお菓子は美味かったよ。」


「余計なことを言うな瑠千亜。」


「やっぱり美味しいんだ?ねえ五郎くん、今度私たちにも食べさせてよ!」



五郎先輩の以外な趣味に、女子たちの目が分かりやすく輝く。


五郎先輩とはあまり深く関わった事がないが、いつも落ち着いていて真面目で、昔の武士を彷彿とさせる雰囲気を纏っている。


だからそんな五郎先輩が洋菓子を作るということが、良い意味でギャップに繋がっているようだ。

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