第10話
「ていうか、隼先輩連れて行くんですか。なんか意外ですね、合コンに行くのがw」
「だって、あいつが参加するって言えば女子の参加率も上がるんだもん。」
「さいてーっすね先輩w」
「でも確かに隼先輩はモテるからなぁ。」
「しかもあいつ鈍感だから、普通に男女で楽しくご飯食べるだけって言われても合コンだなんてピンとこないんだよ。」
「さすが隼先輩ですね。可愛いなw」
「誰かとくっつかなくても、いてくれるだけで女の子たちからしたら目の保養ですからね。」
(なるほどな……)
帰る準備をしながら何となくこいつらの会話を聞いていた俺は、若干隼先輩に同情しつつ、こいつらの言っていることにも一部納得していた。
隼先輩はこの部活のキャプテンで、1番手の後衛だ。
強豪校のキャプテンなのに全く怖くなく、俺にまで優しくしてくれる唯一の存在と言っても過言ではない。
皆言う通り優しいしかっこいいのに、どこか鈍感で純粋で天然なところもある。
皆から愛されていて、俺とは真逆の人間だ。
(隼先輩みたいな人間だったら…俺見たくつまんない人生送ってなかったんだろうな。)
隼先輩に限らず、先輩たち陽キャ4人衆を見ていると、こんなしょうもないことを時々考えてしまう。
(ま、人気者は人気者で大変だろうし。陰キャぼっちのほうが楽なことも多いっしょ。)
そんなことを考えながら、俺は盛り上がっている奴らに挨拶をして部室を出た。
(別にいじめられてるわけでもないし。むしろいじめる価値もないみたいな?本当のリア充とか陽キャは人生充実してるから俺みたいなのに構ってる暇もないもんなー。テニス部がガチ陽キャの集まりで逆に助かったわ。)
部室棟を歩いて駐輪場に向かっていると、ちょうど俺の自転車の隣に人が立っているのが見えた。
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