第6話

特に俺に目をつけている奴。


1人目はさっき怒鳴り散らかしていた担任の平塚。


あいつは元々短気な上に、果てしなく口が悪い。


絶対教師に向いてないと思う。


実際、何人か女子を泣かせて親からクレーム来たこともある。


俺は入学当初から平塚に目をつけられていたので、怒られることにはもう慣れた。



だから残念ながらあいつの説教は、俺には1ミリも響かない。



2人目はさっき俺を追いかけてきたテニス部の先輩。


瑠千亜るちあとかいうキラキラネームのくせに、姑みたいに口うるさい男だ。


俺より背が低くて見た目もチャラいくせに、一応うちのチームの中では2番手の実力だから、キャプテンでも副キャプテンでもないのに威張りまくってる嫌な奴。


あと瑠千亜ほどうるさくはないが、毎日のように面倒くさいことを言ってくるゆうとかいう先輩もいる。


優先輩は瑠千亜とは真逆のタイプで、中学生とは思えないくらい落ち着き払ったメガネ野郎だ。


180cmを超える身長と無駄に低い声、一歩間違えればロジハラだと言われるような理路整然とした話口調。


ただでさえ圧の塊みたいな先輩だけど、全国優勝しているうちのチームの1番手の前衛であり副キャプテンでもあるから、余計に圧がすごい。


瑠千亜や平塚みたいにギャーギャー騒ぐタイプじゃないし言っていることも正論だから、悔しいけどそこまで嫌いにはなれない。



俺はこの三人を中心に常に皆から監視され、少しでもやらかしたらすぐに怒られる。


いつ怒られるか分からないストレスと、何しても怒られるんだろうなという無気力で、俺は学校というこの空間が大嫌いだ。

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