第7話 バスケ部、休部

 谷牧が騒動を起こし、警察に逮捕された。


 何故、警察がタイミングよく来たのだろう。樹は疑問だった。誰も警察は呼んでいなかったはずだ。


 谷牧は警察には素直に従っていった。


 警察は慧のスマホを見て、優しく声をかけた。


「ちょっと、そのスマホ貸してくれる? 証拠になる動画撮っているでしょ?」


 慧はキョトンとした。このタイミングで警察が来るとは慧も思っていなかった。


「え? あぁ……えっと」


 警察は把握できていない慧に落ち着いて説明した。


「教育委員会で問題になってね、張り込みすることになったんだよ」


 慧はそれでも状況を飲み込めなかった。教育委員会で問題ということは、誰かがリークしたことになる。


「匿名で通報があったんだ。プライバシー保護のため、誰かは教えられないけれど」


 警察は慧のスマホに映っている動画をパソコンにインポートした。


「はい。この動画はこのパソコンにあるから、スマホのは消してね」


 慧にスマホを返した後、警察は谷牧を連れてパトカーへと乗り込んだ。


「これから、バスケ部はどうなるんですか?」


 樹は校長先生に聞く。


「そうだな……君たちには迷惑かけたな。とりあえず、コーチもいなくなってしまったし、心のケアも必要だから、バスケ部は休部にしよう。ちゃんと整ったら、また再開しよう」


 校長先生の言い方はあやふやだった。


 本当に頼りない校長先生だなと樹は呆れた。


「君たち、2人は病院に行こう」


 校長先生は拓斗と快に声をかけてから、119番をした。


 数分後、救急車がきて拓斗と快は病院へと連れて行かれる。


「無事だといいんだが」


 栗本達也くりもとたつやは救急車が見えなくなるまで、ずっと見ていた。誰よりも心配している。


 結局、樹たちはバスケをすることもできなくなり、しばらくは学校が終わったら、帰宅することとなった。

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Tip Off 綴玲央(つづりれお) @kasunaka

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