第2話 魔王、勇者。召還。

 「側近よ。何かあると困るから殺気だけは出すな。」


 「魔王様こそ。落ち着いてくださいね。」


 神殿の目の前。入る前に側近ともう一度確認する。一応、勇者もいるからだ。何が起きるかわからん。最大の注意を払い挑むべきだ。


 「先客がいるな。」


 神殿のなかには、五・六人いるのであった。人……。と言っても魔王や獣人もそこにいる。


 「おぉ。魔王か。」


 そう言い1人の青年が此方へ来る。役職は勇者なんだろう。しかし、敵対する意味もない。なので。


 「よろしくな。勇者よ。」


 「まさか、魔王からそれを言われるとはな。」


 そう言い手を差し出されたので握りしめる。そして、放し中央へ歩いていく。


 「エヴァルド・ハイドラだ。」


 ——"データを照合します"。


 ———ピコン

   照合完了。譲渡。スマートウィンドウ。


 「おぉ。」


 手を前にかざすと、1枚の半透明の板が出来る。そこには、とにかく沢山情報がかかれていた。名簿プロフィール、身体状況……。これは?


 ——結成目的

 近頃、生物を創り出す力を手に入れた人間が、魔王を倒すために大量投入するが、暴走し世界全てを破壊する。ただの生物なら良かったが、神の力を顕現している生物もいて、世界を簡単に跨ぎ、他の世界まで侵食している。

 生物を殲滅し、平和にするのが目的である。


「成る程。つまりはニンゲンの後処理か。」


 これはムカつくな。なにもしてないけど。だが、しかし我は暇だから今回ばかりは許してやろう。


 「側近よ、理解できたな?」


 「ハイ。取り敢えず忙しくなりそうですね。」


———お集まりの皆さん。此方に注目を、


その声がする方には、ハゼ。彼が立っていた。


 「私が、この隊。シルフィードの、リーダー。ハゼ・ヨネシス。」


 ハゼか。懐かしい。

 いつだっけ。何十年ぶりだ?


 「この隊の目的は……。割愛する。それより、最初の任務を与える。」


  ハゼの後ろには大きな映像が流れ始める。


 「AZ 15–32。ハルミナ星。多分、皆の世界に少し似ているだろう。基本情報は送った。だから、それを見てほしい。」


 数秒の、隙間が空くとまた話し始める。


 「神話生物を殲滅し、復興させよ。」


 そう言うとハゼは消えていくのであった。そして、右にある扉が空き、そちらに行くよう指示が出るのであった。


 扉の先にあったのは……。なんだこれ?でかい鉄の固まりは。


 「宇宙船か?」


 隣から聞こえてくる。先ほどとは別の青年だった。そして、前からも話し声が聞こえる。


 「私の世界の技術で作られた、世界を渡ることも出来る。銀河も越えられる船だ。これに乗り移動する。」


 横の部分が空き、皆中に入っていく。


 「異世界に呼ばれたのに……。SFかよ。」 


隣の青年は絶望したようにそう呟いている。何だか、かわいそうに。我は暇だから居る。しかし、彼にとっては仕事なんだろう。仕方ない。


 「魔王様。行きましょう。」


 「あぁ。行くぞ。」


 そう言い我は、側近と共にその宇宙船?とやらに入るのであった。

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