第2話 プラリケリアス(愚者の宝石)
昔々、ウレタにはアルベルスト皇帝に討たれたウレタ王の隠し財宝があるという噂がありました。
その噂を聞きつけて、一攫千金を夢見て砂漠に向かうものを少なくはありませんでした。
ある時、同じように宝を夢見た男バルダンがウレタの砂漠を訪れました。
バルダンは馬を駆り、ウレタの旧城跡を訪れました。そこで宝の手がかりを探そうとしたのです。しかし、いくら探しても形跡はありません。
次の日、バルダンは馬を駆りウレタの壊された町を訪れました。そこで宝の手がかりを探そうとしたのです。
次の日、バルダンは馬を駆りウレタの墓地を訪れました。人々の墓地の何処かに紛れているのだと考えたのです。しかし、いくら探しても形跡はありません。
次の日も次の日も、バルダンは宝を探し続けました。
ある日の夕方、水も食料も尽き、気力も体力も尽き果てたバルダンは岩陰で干からびかけていました。
ぼんやりと別の岩陰に目を向けた先に、あるものを見つけました。
それは、透き通る緑色をした宝石でした。それも、たくさんあるではないですか。
バルダンはその宝石に飛びつき、ズタ袋に詰めて馬の鞍に乗せるやいなや全力で街へと駆け出しました。
いつの間にか遠くに来てしまっていたバルダンは、2つの夜を駆け続けました。
そして、命からがら街に戻ったバルダンは、水も飲まずにそのまま質屋に向かいこう叫びました。
「噂は本物だった!これが隠された宝石だ!」
ズタ袋を差し出された質屋は恐る恐る中を開けてみると、中には、なんということでしょう、干からびた草が沢山詰まっていました。
それを聞いたバルダンはズタ袋を急いで質屋からもぎ取り中を確認すると、確かに干からびた草しか入っていません。
哀れなバルダン、そのままひっくり返って気絶してしまいましたとさ。
―おーおー、愚かなバルダン
砂の国にやってきた
おーおー、愚かなバルダン
砂の国をさまよって
おーおー、愚かなバルダン
夢を掴んだと思ったら
おーおー、哀れなバルダン
『愚者の宝石(Prhar-kerias)』に騙された
哀れなバルダン、騙された―
(古ウレタ地域伝承と民謡より パークラー編)
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【解説】
プラレケリア属(Prharekerias; 学名: Prharekeria sp. D.Mens)
プロンクリア科の多年生草本であり多肉植物である。主に古ウレタ地域のうち特に乾燥した地域に分布する固有種。
厚みのある丸い葉が特徴的であり、ロゼット状に展葉する。肉厚な葉のものでは葉が水分で膨潤し、内部が透明になるものがある。これは光の吸収効率を良くすることで悪条件でも生育できるように進化したものであると考えられている。
薄緑色の透明な丸い葉をたくさんつけるさまは正しく砂漠の宝石であり、現在では観賞用として愛好家の間で栽培されている。
環境によっては群生することがあるが、これは一つの株が根によって広がったもの、または千切れた葉から根が分化し別の株になったものである。
根が乾燥すると著しく劣化し、3日ほどで枯れてしまうので注意が必要である。
(了)
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