第12話 メロムメロカ
==カーゼル村==
メロムは冒険者ギルドの椅子に座りながら対面に座るメロカを見つめていた。
いつ見ても大事な存在は大事なんだと思った。
記憶を思い出そうとする。
最後に見た宙はとても青かった記憶がある。
空を氷の霧が覆って、
浮遊王国ローゴスは宙へと旅立ったはずだった。
クロウガーという神に邪魔をされた。
それは突如として空から降ってきた。
大地は破壊され、人々は殺され。
メロムとメロカはクロウガーに呪いをかけられて石にされていた。
そのクロウガーがどこに行ってしまったのかは謎だった。
メロムの体の中には魔法の血液が流れている。
メロカが触れる物には魔法の石が与えられる。
この二つの力があわさって、初めて空へと飛べたはずだったんだ。
勇者一行の伝説も知っている。
メロムとメロカと同じ時代だったはずだ。
確か、勇者セイリュウと呼ばれる4人の冒険者だった記憶がある。
その人物が椅子に座ってしょんぼりとしている。
メロムはこくりと頷いて尋ねる。
「勇者セイリュウ、話は聞いているが、俺達が石にされた後どうなったんだ世界は」
勇者セイリュウは蒼い瞳を輝かせながら。
涙をこらえているように頷いた。
「世界は一度滅びましたよ、異世界大戦争によってね」
「そうですか、クロウガーは?」
「クロウガーは知りません、ただ物凄い神々が戦っていました。それも神なのか悪魔なのかわかりません、それがクロウガーだった可能性はあります」
「ごほん」
ルーム・クラフ師匠が話したがっていた。
今はジョド村長と名乗っているらしいが。
彼は、メロムとメロカの時代から生きている人物、既に数千歳は超えていると思われる。
なぜ生きながらえる事が出来るのかは謎で仕方がないが。
今はそこは問題ではない気がする。
「師匠」
「ここではジョド村長ですよ」
「そうでした。村長、今この世界はどうなっているんですか」
「世界は一度滅びたが、惑星食いによって再構築された。いわばここは仮初の惑星だ」
「どういう」
「惑星食いは地球となっている。地球は宇宙の果てにあるが、異世界ともなっている。詳しくは説明できんが。宇宙と呼ばれるのがお主達が向かおうとしていた宙じゃな、そして、そこには無数に惑星があって、その1つ1つが我らが異世界と呼ぶ存在じゃ」
「はい、なんとなく説明は分かるのですが」
「クロウガーは闇の惑星、冥王星に閉じ込められておってな、そこから出るには相当な生贄が必用じゃ」
「つまり、その為に、この世界の人々を虐殺しているんですね」
ドリームと呼ばれていた青年が呟いた。
彼は真面目に思案顔になっているが、どうやらどこかで見たことがある顔付きのようだ。
「君は、勇者一行の中に見たような顔だね」
「僕は何度か生まれ変わってるんです。一番最初がウェイバリアン、サイクロプスと人間のハーフです。その後に勇者一行の賢者にもなった事があるらしいのですが」
「では、君がサナディストかな」
勇者セイリュウがにこやかに尋ねた。
「恐らく、僕はサナディストなのかもしれません、ただ、サナディストだった頃の記憶がありません、賢者のように魔法が使える訳ではありません」
「そうか、君を見た時、確かに懐かしさを感じたものだ」
勇者セイリュウは影のある表情を浮かべながら、とても悲しそうに呟いていた。
「問題は、これからどうするかと言う事だが」
ロイと呼ばれていた青年が呟いた。
彼の両腕は今包帯で巻かれているが、確かドラゴンの腕のような状態になっていたはずだ。
彼の両膝の上には可愛らしい子供が座っているが、額に宝石が埋まってる事から、ドラゴンの娘だと思われる。
ドラゴンがこの世界にまだ生き残っていて嬉しいと感じつつも。
彼女から絶大なる力を感じざえるおえない。
「メロム、私達が出来る事は限られてるけど、私が触れた物は圧倒的に硬くなるのよ、ドーマス君がゴーレムを操って建てている城壁に力を貸せないかしら」
「それなら、俺の血は圧倒的な回復力を誇る。それを使ってくれ」
「じゃがのう、そういった技術に秀でている人物がおらん、メロカの力は活用させてもらえドーマス」
ドーマスと呼ばれている全身銀色の鎧に包まれている青年がこくりと頷いた。
「まずは、この浮遊王国ローゴスに100人以上の死なない仲間達を集める事が先決じゃて」
「100人以上?」
メロムが不思議そうに尋ねる。
そんなに死なない仲間達を集めてどうするのだろうか。
「そうして、クロウガーいや、他の脅威からこの世界を守ろうではないか」
「他の脅威? 君は何を言っているんだい?」
「さぁ? 母上が告げただけじゃ」
「その母上はどこにいられる?」
「神に殺されただけじゃ」
デルは悲しそうな顔1つもせずに冷静に囁いた。
まるで精霊のような声だった。
「あれはモンスターの大軍にやられたのではないか?」
ロイが尋ねると。
「あれは宇宙で神々と戦っていただけじゃ」
「そうだったのか」
「神? クロウガーの事か?」
「私にも分からない。私は誕生すると共に母上から限られた情報を託されただけじゃ」
「そうか」
メロムが頭を回転させながら、だんまりを決め込んでいると。
デルがいきなり手を上げた。
「ドリームよ、武具は作ったか!」
「ああ、ザイドロンと共に魔法の武器と防具を製造しているよ、夢の世界だけどね、でもあそこは勇者のアイテムボックスだと言われているそうだよ」
「そうか、やはり、サナディストだな、いや、これからはドリームと呼ぼう、君は今アイテムボックスがどこにあるか知っているのか?」
「いや、それは知りません、ただ、アイテムボックスの中と繋がっているだけです」
「なるほど、まずはアイテムボックスの袋を探す必要があろう、そうすれば夢の中から武具を取り出す事が出来るはずだ」
「そうか、そこは考えてなかった」
「じゃあ、次の作戦会議はアイテムボックスを探そうだー」
デルが元気強く場を盛り上げてくれたが。
メロムとしては今の現状があまりよろしくない現状だという事を知っている。
クロウガーの下部がどうやらこの世界のあちこちにやってきているらしい。
それを放っておけば、生贄がある一定量達してしまえば、クロウガーがこの世界にやってきて暴れ出すだろう。
「メロムよ、脅威はクロウガーだけとは限らんと言う事じゃ」
デルがメロムの思考を読み取ったかのように呟いた。
今はアイテムボックスの事を考えよう。
彼はそう思う事によって心の安堵を掴む事に成功したのであった。
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