第50話 就寝①
お風呂を入り終わり、わたしは自分の部屋に戻っていた。
わたしはパジャマに着替え、制服を壁のハンガーに掛けた。
そしてわたしは、脱衣所でのアイリスたちとの会話を思い出していた。
「今度、お前ん部屋、行ってもいいか?」
案の定、アイリスはそんなことを言ってきた。
「駄目」
わたしは、アイリスに即答で答えた。
名前で呼び合ったりするのはいい。だけどそこまで気を許してない。気を許すつもりはない。
メアリーさんなら、まだいい。宿舎の主みたいな人に駄目って言うわけのもいかない状況だってあるだろうし。
だけど、他の人は駄目だ。見られて困るような物は一つもない。
…だって、そういったものは…。
すると。
「言ってみただけだよ。あたしもそうだったしな。レイナの時がそうだったな。『てめえなんか、ぜってぇ部屋に入れねぇ!!』って言ってたしな」
アイリスが、わたしにそう言ってきた。そして。
「まっ、あたしん部屋なら、いつでも来ていいからよ。いつでも来い」
ポンッ。
アイリスは、軽くわたしの背中を叩いてそう言った。
『…いつでも、か…』
すると。
ガラン。
「ハッ?あんた、調子乗りすぎ。あんな汚部屋に、瑞穂呼ぼうとすんじゃないわよ。片付けも、ろくにしてないヤツが」
レイナさんが、浴場から出てきて、アイリスにそう言った。
「うっせぇ。てめえの部屋だってそうだろ。ギターばっか飾りやがって」
「そうなんだ。拷問器具とか置いてると思った。ドSだから」
アイリスの言葉に、シルヴィアは頭を拭きながらそう言った。
「キャハハ♪確かにな♪」
アイリスが、笑いながらそう言うと。
ボカッ。
「汚部屋よりマシだっつの」
レイナさんはそう言って、アイリスの頭を叩くと、自分のロッカーからタオルを出して、身体を拭き始めた。
「とにかく駄目だから。メアリーさんならいい。だけど、他の人を部屋に入れるつもりはないから」
わたしは頭を拭き終わると、アイリスにそう言った。
「…その辺はシルヴィアはおんなじか。だけど、シルヴィアよりはマシかな。最初はメアリーさんにさえ、『入って来ないで』って言ってたみたいだし」
レイナさんが、身体を拭きながらそう言うと。
「あたしらは、まだ入ったことねぇな。そろそろ部屋入れろよ。シルヴィア」
アイリスが、頭を拭きながらそう言うと。
「イヤ」
シルヴィアは、アイリスにそう言った。
『…わたしとは、別の理由がありそうだな…』
シルヴィアの様子を見て、わたしはそう思った。
わたしは下着を着けて、制服を着ると。
「じゃあ、お先に。お休み」
わたしがそう言うと。
「うん。お休み」
「おう。また明日な」
「お休み」
レイナさんたちの言葉を聞いた後、わたしは脱衣所を出た。
『…お休み、か…』
いつ以来だろ。こんなこと言ったの。何だか、もう思い出せない。
そうしてわたしは、自分の部屋へと戻っていったのだった。
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