第33話 歓迎会⑧

「で、その任務って、何だったんですか?」

 わたしの着任に関しての話が一通り済んだと思って、ディアナ大佐にそう聞くと。

「ああ、つまらん任務だ。自分の領地の明け渡しを頑なに拒否した領主を討伐、その領地を奪取しろという、上からの任務。いや、依頼だな」

 ゴクゴク。

 大佐は、ジュースを口にすると、わたしにそう言ってきた。そして。

「メアリー。今更だが、酒ではないのか?」

「何言ってるの。まだ朝よ。そんな時間に、お酒なんて出せません」

 大佐の言葉に対して、メアリーさんは、ピシャリと、そう言ってきた。

「言ってみただけだ。お前は、昔からそういうところは厳しいからな」

『大佐とメアリーさんって、昔からの知り合いなのかな?』

 二人の会話を聞いた、わたしはそう思った。

「まぁまぁ。こっちだってジュースなんですから。ああ、少尉。さっきの大佐の話なんだが、俺から説明しよう。隊長だしな」

 シュナイダー隊長が、わたしにそう言ってきた。

「はい。お願いします」

 わたしが、そう答えると。

「ああ。その領主ってヤツっていうのがな、かなりの悪徳でな。だが、国のお偉いさんやらと仲良くやってるってことで、上の連中、マゴマゴとして攻めあぐねてな。一気に攻めればいいものを。私兵を何人も抱えてるからって、中隊規模の戦力だぞ。そんなに時間のかかるような相手でもないのにな」

 隊長が、わたしにそう言うと。

「下手に一気に攻めて、国のお偉いさんやらに、とやかく言われたくなかったんだろうな。何かしらの理由つけて、こっちに正当性があることにしたかったってことだな。そんなもんで解決するかっての。喉元過ぎればってヤツになるのがオチだ。奪取できても、しばらく経ったら、そのクソが、また領主に返り咲きってな」

 ラング中尉が、そう言ってきた。

「それでわたしたちに、話が来たってわけ。大佐が言うように、任務っていうか依頼だね。ってか、わたしらに来る任務って、大体そんな感じだけど」

「そうなんですか?レイナさん」

「そっ」

 レイナさんが、わたしにそう答えてきた。

『…何でも屋って言われてる理由って、そこら辺なのかな…』

 ゴクゴク

 わたしは、ジュースを飲みながらそう思った。

「にっちもさっちも行かなくなったから、仕方なくってヤツだよ。毎度のことだけどな。だらしねぇ連中の尻拭いやってんだよ。ウチらは」

 モグモグ。ゴクゴク。

 アイリスは、おかずを食べると、ジュースを飲んでそう言ってきた。

「とにかく我々に白羽の矢が立ったということだ。だが何度も言うように、私が指揮を取るまでのないような任務だ。副長に指揮を任せて出撃させた」

「指揮っていうより、お目付け役でしょ?実際、戦闘は全部わたしらが仕切ってたしね♪」

 大佐の言葉に、レイナさんはそう言ってきた。

「…可哀想なのは副長ですよ…。『また胃がキリキリする羽目になった』って言ってましたしね。気持ち分かりますよ。自分もそうですし…」

 ブリッツ曹長がそう言うと。

「ブリッツの場合、筋トレで発散してる。こっちにとっては迷惑。汗臭いから」

 パクパク。

 シルヴィア曹長が、おかずを食べながらそう言ってきた。

「だな。これだから筋トレ馬鹿はよ」

「そうそう。胃薬飲めっての。何ならわたしが、あんたの口にたっぷり放り込んでやるわよ。ボトルごと全部ね」

「…やめてくださいよ…」

 アイリスとレイナさんの言葉に、ブリッツ曹長はそう答えた。特にレイナさんの言葉には、怯えた感じがある。ホントにそんなことしかねないってことか。

「で、相手はどんなHWMを使ってたんですか?」

 わたしがそう聞くと。

「クレインシザード」

 レイナさんが、わたしにそう答えてきた。





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